食い逃げをしました。


第5回 ベトナム・タイの巻



2月 9日(金)ドンムアンの熱い夜

 
とにかく、見栄を張って一人で買い付けにいったところで、淋しいにきまっている。
こと、おしゃべりな私は年がら年中実況中継していたいのだから、一人はイヤだ。
今回はバンコク観光にお経ちゃんが付いてきてくれた。
帰りには荷物を持って帰って貰って、その軽い足取りでホーチミン、プノンペンと行く予定だ。
後から出発が決まったお経ちゃんはキャセイで、私はビーマンなのでドンムアン空港で待ち合わせ
と言うことになった。待ち合わせ場所は、「出たら左」。お経ちゃんはそんなの不安だと言ったが、
その方法で会えなかったことがないのだから大丈夫だと言い、バラバラに出発と相成った。
先に到着してた私は「出て左」で待つこと2時間。イタリア人のおじちゃんと話しつつ、荷物を預かって貰いつつ、
走ってみたり、反対側に行ってみたりしたが見つからない。うーん、これはちょっとおかしい。
と思っていると後ろから「マツモト!」と声がした。
ああ、良かったお経ちゃん。お経ちゃんによると、誰か知らない人がもう1個出口ありますよ、風景はそっくりですよ、
と教えてくれて、こっちに来たらしい。そうか。今まで「出て左」で会えていたのは相手が私の便に合わせて
動いてくれていたからなのか。でも地図を見ると第一ターミナルも第二ターミナルも同じ出口に来るように
なっているんだけど。もしかしてすごく古い地図ですか?これ。
私の持っている地図やガイドブックは旅を始めたばかりの頃から全然買い換えていない。
いろんな料金表も変わってしまっていてる。ぐう。
とにもかくにも後悔するべきは、初めてタイに来るお経ちゃんに、あらかじめ用意したホテルの名前や連絡先すら
教えておらず、「出て左」が失敗したら最後、別々のバンコクを堪能して帰るところだったのだから、
これからは「ホウレンソウ・ホウ(報告)レン(連絡)ソウ(相談)」をきちんとしなければ。
お経ちゃんはとても痩せていて、キチガイみたいにパワフルなんだけど、あるツボにはいると弱弱に変身してしまう。
このとき、お経ちゃんがまだ「強い」モードに入っていたから私を捜し出してくれたけど、
もう少ししたら「弱い」モードに入ってしまって、天を仰いで泣いていたことだろう。まさに危機一髪。

2月10日(土)クリカン王子

買い付け前に両替をしたいのである。ここいらには所謂ブラックマーケットがたくさんあるのだが、一見解りづらい。
ベトナムへのチケットを買った代理店で聞くと、すぐに教えてくれた。
ここはバンコクの中心街というよりはやや郊外よりの場所なので、何のお店も開店が遅くて閉店が早い。
英語も出来ないことが多い。この旅行代理店も何件か廻ってようやっと見つけた。
PCがあって、英語喋れるお姉ちゃんのいる代理店だった。
買い付けの後、チケットを取りに来るつもりで予約を済ませ、すぐ両替屋に行った。
途中大きなスコールがあったり、田中義剛そっくりのおじさんに未払い客と思われ追いかけられたりしながらも、
その日の買い付けはさらりと終わった。(お経がUSアーミー物ばかりを買った以外は。
何故タイでUSアーミー)しかしやがて私が壊れる気配がし始めた。
その後旅行代理店に戻り、チケットを貰おうとした私だったが、さっき私の手配をしてくれたお姉ちゃんがいない。
そして、全然話がかみあわない。けっこう長くやりとりした後、お経ちゃんに「ねえ、それ・・・違うんじゃない?」と
言われるまで全然気が付かなかった。私は両替屋で飛行機のチケットを出せ、と騒いでいたのだ。
そこに行く前に、旅行代理店がすでに閉まってしまったのも確認した。しかし何件も代理店を廻ったので
閉まっていたのは違うお店なのだと思いこみ、両替屋さんの入り口にもツアーの売り込みがあったので、
「あ、なんだ、こっちだった」と自分の中だけで納得していたのである。
しかも「両替屋さんは金を扱っている中華系のお店が多い」とお経ちゃんに言ったとき、
私の中でさっき行った地味な両替屋さんもキンピカな記憶にとって変わってしまったのだ。
とにかく相手にしてみれば、どんなに言い訳してもかなりキチガイだ。
この時私の脳味噌にはもうバイキンがいたのだと思う。脳が腐ると共に体調も腐り、悪寒がぞくぞく。
近所の薬屋さんで薬の調合をして貰う。水色ピンクのツートンカラー錠剤、真っ青なカプセル、白くてでかい錠剤。
どれもこれも南国情緒たっぷりの配色、そして薬なのに体に悪そう。しかし、タイの風邪にはタイの薬。
これは胃が壊れるほど効くのだ
。ぞーくぞくぞくしながらご飯を食べる。大好きな臓物のスープに、カレー味の米麺。
でもやはりすすまない。とぼとぼとホテルへ帰る。すると素敵な王子様が入り口の階段に立っていた。
もちろんポーズは斜め45度。カンチッ君である。
私たちが泊まったホテルは、日本で行きつけのタイ料理屋のママが大のお勧めで、
良くするように言っておくから是非お泊まりなさい、と目の前で日本から予約してくれたところだ。
ママと仲良しのボーイが彼「カンチッ君」。彼に何でも言うようにとのことだった。
しかし、到着した昨晩カンチッは非番で、フロントとも話が通りにくくて、まったく役立たずだった。
非番なのに誰から聞いたのか、部屋に電話だけがかかっきて「ダンシン、ダンシン」と言っていた。
まだ会ったことない君と疲れた体でダンシンは罰ゲームみたいだよ。丁寧にお断りすると、残念そうに電話を切った。
そしていよいよ彼の当直時間ということで、我々を待っていてくれたのである。
やっと会うことが出来た。黒くて小さくて7・3分けの栗田寛一。相変わらず「ダンシン」または「マッサー」と言っている。
ママから推薦されちゃってるだけにかえって扱いあぐねる。どーにも仕事で来ていると、
ダンシンな気分にならないのだよ、カンチッ。しかしとうとう断り切れずにマッサーはお願いすることにした。
2時間500バーツで部屋に女の子が来てくれるそうだ。それってメチャメチャ高い!と思っていたのですが、
そうではないそうですね。最近はカオサンでもあるまいし、この位は普通の値段なんですって。
私が観光客だった頃は・・・もうやめましょうか。年の話になりますもの。
お風呂に入るが、仕方ない洗髪は諦めた。やがて、女の子達がやってきて、TVを付け(お決まりですな)、
だらだらとマッサージを始める。「おーい、あなた足が熱いわよ」と言われる頃には体温は急上昇中。
具合が悪いときに体を揉むと、揉み返しがきて後が辛いんだよなあ、なんて思いつつ、夢に落ちていくのでありました。

2月11日(日)タイパーマ

目が覚めると、自分の体が熱いのが解った。だーめだこりゃあ。
初めてタイに来たお経ちゃんには大変申し訳ないのだけれど、もう独り立ちです(はやっ)。
お経ちゃんはデジカムで朝の電車を撮影しておりましたが、やがで夢うつつの中、
マーケットに出かけていったようです。何時間ぐらい寝たでしょう。
アメリカ陸軍が帰ってきました。だから、タイでそれ買ってなんなんだって話ですよ。中田商店でいいじゃん。
日本円にして4千円もする安全靴とか買っちゃってるの。そこまで出せばあるって日本にも。
バイヤーの私よりもいっぱい買っているお経ちゃんなのでした。買い物好きって恐ろしい。
また、うつらうつらしていると、いつの間にかお経ちゃんがいません。
何処に行ったのかな〜と思いながら何時間ぐらい寝たでしょう。石立鉄男が帰ってきました。
(字、合ってますか?わーかめ好き好き〜)本人、かなりショックな様子ですが、それを隠しています。
ショック、ショック。
近くの美容院へ行ったようなのですが、なにしろちょっと中心街と離れていますので、
一見お洒落系の美容院でも実際そのヘアスタイルをやったことがない、というのはよくあることのよう
なんでございますね。お経ちゃんの話によると、「一液を洗い流さず二液をかけた」そうで。
それってパーマ自体が初めてだったんでは!ってくらいの衝撃事実ですね。
昔、サメット島で友人が安いという理由だけで、スパイラルパーマにトライした事があるのですが、
その時は朝の6時から行って、出発ぎりぎりにスティービーワンダーが帰ってきました。
テイストが・・・ちょっと違う。ハゲがちな友人だったのですが髪はひっぱられるは、液がだらだら垂れるは
大変な手術だったようです。お経ちゃんは「ロットもどれにするか?」と聞かれたそうで、タイ恐るべし。
だいたい、おかまちゃん達が行くようなお店は間違いないと思うんですが・・・。
一日中寝まくった私は、そろそろと起き出して近くに晩ご飯を食べに行けるようになりました。
デザートは、昨日買って置いた特大のドリアンです。これできっと元気が炸裂、風邪もぶっとぶことでしょう。
明日は1日だけでもリゾートへ行こうではないですか。

2月12日(月)馬並の女

初めてタイに来たお経ちゃんに、短い期間であますところなくタイを楽しんで貰いたい、
その気持ちと裏腹に付いていかない体・・・。あーだめだ、日本に帰ったら鍛えなおそう。
でも、昨日一日ゆっくり寝ていたら、なんとか移動が出来そうなので、ホアヒンへ一日だけだけど行くことにした。
一日じゃ何も出来ないけど、ちょっと海見たいし。
アユタヤでも良いんだけど、日射しの中あの広さを歩き回る体力は、無い!
他のホテルに予約し直すのも面倒なので、「また明日戻ってくるから」とレセプションに言い、
前の晩カンチッにも言い(カンチッはチェックアウトの時間、また非番で役立たず)荷物を預かって貰い、
パンツだけ持って、サーイターイ(南バスターミナル)へ。ホアヒンは南で良いんだよね、とドアボーイ達に聞いたら、
そうだそうだ、と言っていた。タクシーの運転手が一番分かっていない様子で、
「ホアヒンに行くのよ。南でしょ?サーイターイ」と言っているのに。「?ホアヒン?わかった」と言って
そのままどうやら東バスターミナルに向かっている。やりとりをしていると、冷や汗が出てきた。
やはり、まだ気持ちが悪い。これはミニ貧血だ。
渋滞国タイのタクシーにはちょいと違う方向へ走っても、やがて目的地へ着くという事は良くあることなのだから、
もう、いいや、何処へでも行け、と私はシートへ横になってしまった。着いてみればやはりここは東バスターミナル。
馬鹿〜!パタヤに行くんじゃないのよ〜!というクレームを聞かないように素早く走り去るタクシー。
時間もったいない!しかしパタヤで羽を伸ばすのにはそれなりの体力と資金がいるし・・・。
また違うタクシーに乗って、南を目指すすっとこどっこいなのであった。
3時間後、我々はまぶしい日射しと青い(様に見える)海の街。ホアヒンにいた。私の大好きな街である。
いっちょ、観光してみるか、と言うことで浜辺で馬に乗ってみることにした。交渉すると30分200バーツ。
ぽっこりぽっこり浜辺を歩いていると、2時間で行けるからモンキーマウンテンまで行こう、と乗馬屋が言う。
乗っておいて矛盾するんだけど、私は動物に芸をやらせるショーが嫌い。これもなんだか馬が斜めの浜辺を
ずーっと同じ方向に歩くのが辛そうで、乗っててだんだんイヤな気分になってきちゃったのだ。
お経ちゃんは行けるところまで行きたいようなので、私は戻って待つことにした。
私担当の乗馬屋は、私じゃ儲からないと見ると、まだ30分たっていないのに来た道を戻り始めた。おいおい。
どうやらお経ちゃんは乗馬経験があるらしく、「ハイッ」とか言って、ギャロップどころか馬なりで走っていっちまった。
ほぼ裸馬に乗るほぼ裸の女。あれだけ走れば馬の方も楽しいだろう。
2時間待つつもりでビーチのジュース屋で腰を下ろすと、そこのみんなが3時間は帰ってこないと言う。でた。
もーう、すぐ時間の嘘つくんだから。2時間で行けるって言って置いて誘って、実際3時間かかっても、
3時間乗っちゃってればその分のお金払わないわけにいかないもんねー、1200バーツかあ、
なんて考えているとすぐお経ちゃんが帰ってきた。やはり途中でかなり時間がかかることを悟ったらしい。
それに鐙に足がこすれて、どろどろ生汁が出ている。この生汁は止まることなく、日本でも流れ続けることになる。
(膿みやすい体質だそうで)。
夜はナイトバザールを見て、えびを食べた。宿の隣はイカ釣り漁の船着き場で、朝方帰って来る。
修学旅行みたいに、怖い話と可笑しな話を繰り返していたら、どんどん時間がたって、イカ釣り漁船が戻ってきてしまった。
全然買い付け日記じゃないなー

2月13日(火)仕事の基本報告連絡相談(ホウレンソウ)

夢のようにビーチの旅終了。午前中のバスに乗ってバンコクへ戻る。
到着したその足でネットカフェ、取引先、テーラーと廻る予定。
日本が冬の間用の無かったタイのきらきらしたお洋服をやっと買える。うんとセクシーで下品な物をいっぱい買おう!
まずはネットカフェ。3日ほど開けなかっただけで、メールボックスはいやになるほどいっぱいになっている。
ひとつひとつ出来る限り返事を書く。返事を書くと予定というものが出来る。
旅は仕事、とは言え、毎月来られるというわけでもない。
こっちにいるうちに会っておかなければならない人達からの連絡をまとめる。
お経ちゃんは、旦那様にメールを打ち終わると、即持てあまし、お買い物にふらりと出ていった。
30分後に、と約束したものの、相変わらずマシンはのんびりしていて、間に合いそうもなく慌てる。
なんとかちょい遅刻で再び合流。仲良しのお店に一緒に向かう。
リリちゃんのお店はうちが開店以来ずっとお世話になっているお店。
今日は下見に来ただけ、と思っていたのに、ずっしりと買ってしまった。
ベトナムの帰り、再び寄る日に合わせてもっと欲しい物を指定しておく。でもこれが指示通り出来たことは一度もない。
最初のうちはまあ、いらいらしたものだけれど、最近私は達観してきていて、出来ることだけ出来れば良い、
という心境である。どうしてもして欲しい事、欲しい物は何度も何度も言うしかないけど、それ以外はあまり
細かいことを言わない方が良いように思う。こちらの指示もつたないし、あまり細かいことを言っていると、
相手が得意でない事も無理無理やろうとして、より収集が付かなくなることもあるのだ。
大まかに「相談」をして、取りあえずやって見せて貰っていると、そのうちに向こうの得意技が見えてくる。
それに沿って再度「相談」をする。その方が時間はかかるけど、お互いに気持ちよく仕事が出来る。
と、言うことで適当なことを喋って、荷物を預かって貰い、次は作り込みに行く。
テーラーの家にアポなし侵入。家族一同驚く。新作のブレスレットのサンプルを見せ、どの辺りが難しいか等
話合いを・・・話を・・・聞いてない。なんだか丁度テレビが良いとこだったみたいで、担当の娘をはじめ、
一家全員がテレビに気が行っちゃっている。このテーラーも予定通りに何もかも出来たことがない。
達観する私。きっと今回も予想通り、何もかも完璧には出来ない。そして今回、もう一つ大きな目標があった。
前回納品した分が不足だったので、お金を返して貰う、という目標。日本なら返金は当然のことだけれど、
きっと嫌がるだろう。ややこしいのが、その荷物にはオーダーが不足しているのにも関わらず、
おまけが少し入っていたのだ。「おまけ」は気持ち、「オーダー」は仕事、この区別についてきちんと話して
納得させ返金させる。このくらい出来ないとさすがに馬鹿にされてしまうだろう。
その話を切り出すと、やっぱり家中のテンションが下がった。
「ベトナムから戻ったら全部精算するから、取りあえず今回の分をきちんと仕上げておいてね」と言い置いて帰る。
すでに外はああああっという間にもう夜のとばりが降りてきているのである。
今日はお経ちゃんとの最後の夜なので何か美味しい物を食べに行きたいのだが、(しかも私が交渉に夢中で、
お経ちゃんまで朝以来何も食べていないのだから!)目の下真っ黒に疲れてしまっている。
街に行けばなんでもあるはず、とMBKまで行くが、あてがあるでなし、荷物を持ってうろつく。また消耗する。
その時、なにやら祭りのように賑やかな音がするエリアを発見。
覗くと巨大なスペースが臨時屋台村と化しているではないか。ずるずると荷物を引きずって奥まで歩く。
人混みの向こうに、お姉ちゃんのダンスが見える。なんの余興なんだべー。
ズンチャカドンチャカする中で、やっと食い物にありついた。ほっとして呆然。
元気なら是非見に行きたいお姉ちゃんのダンス。ああ、きっと笑えるのに。
ともかく、下手に高い店なんかより全然美味しいタイ料理を腹一杯食べることが出来た。
タクシーでひとっ飛び、ホテルへ戻ろう!タクシーの運転手さんは珍しく気の利いた人で、
今までの乗った中の最短距離、最短時間、最低金額で帰ってくれた。
お経ちゃんと私はゴールのホテル前で思わず拍手をしたら、運転手さんは笑って手を振り振り帰っていった。
ホテルのゲートにカンチッが居た。「お帰りー」って感じで荷物を持ってくれ、ホテルに入ってぎょっとした。
私たちの荷物が入り口付近に置きっぱなしにされているのだ。レセプションに行って納得。
また戻って1泊するから、とあれだけ言って出ていったのに、ブッキングされていなかった。
だから、お気をつけてお帰り下さい、と荷物を出して置いてくれた(と書いておこう)のだ。
その事を告げると、「1100バーツでどうですか」と言う。
「私はスーパーポーンさんの紹介で、700バーツと聞いています」と言うと、もの凄いイヤな顔されて
「じゃ800バーツで」と言ってきた。一応お互いにおれた。カンチッに荷物の梱包を手伝って貰おうと、
段ボール無いか?と聞いたら、今までにないまじめな顔で探しに行った。
が、すーぐ戻ってきて「この先20m行くと、お店があって」と説明をはじめ、
つまりはそこへ行って貰って来いと言うのだな。「じゃ・・・もう・・・良い」。
それをあんたにやって貰いたかったのよ、カンチッ。私たちのために骨身を惜しまずあんたが働いてくれるって
言うから、ここに泊まっていたのにさ。格安、サービス独り占め、ってタイ料理屋のママが言ってたわ。
あーもー予約もまともにとれてないしさー。とぼとぼ部屋についてまた驚いた。今までの部屋と全然違った。
ああ、ママはいつもこっちの方に泊まってるんだあ。「綺麗でサービス満点」と聞いていた割に、
部屋がぼろっちかったので、この程度で日本に馴れたママが感激するかなあ、と思っていたのだ。
そのぼろっちい前の部屋に、化粧道具などをうっかり置き忘れていたので、まだ保管されているかなあ?
とお経ちゃんがレセプションまで聞きに行った。しばらくすると部屋のベルが鳴り、
お掃除係の人がやってきたのだが、何故か「30B」と書かれた歯ブラシを持ってにこにこしている。
「ノー」と言うと、がっかり帰っていった。「こんな袋に入っていて、コンタクトレンズの洗浄液や、
なにやかにや」と細かく説明したにもかかわらず、何故か「30Bの歯ブラシ」がやってきた。
このホテルの欠点ってば総合すると、ひどい連絡不行届なんだわ。自分の仕事じゃないと思うと、
にこにこしてても何も聞いてない、担当にきちんと申し伝えをしない、これだ。これで潰れるぞ!
我々は全てを忘れることにし、荷造りをした。お経ちゃんは持てうる限りの荷物を持って帰る使命。
でかいリュックに詰めるだけ詰めて背負ってみた。
「背負える、大丈夫、大丈夫」そう笑顔で言うお経ちゃんの両腕の血管は、血が止まって膨れあがっていた。
あ、あの、実際に背負わなくてもカートで機内に持ち込むだけなので、しょっ、背負わないでお願い。
あと5分背負っていたら、
血管が破けて、私は返り血を浴びせかけられ、一生お経ちゃんを背中に感じて生きていったことだろう。

2月14日(水)ぼー

お経ちゃんの飛行機はキャセイだから、香港でトランジットがある。
香港空港は新しく綺麗になったけど、本当に解りづらいね、なんて話をしていたら、
お経ちゃんは緊張してきて心臓がばくばくすると言うので、ちょっと早過ぎか?と思ったが、
ゲートに向かった方が良かろうと、お別れをした。何故か私にも緊張が感染ってしまって、
さよならした後から自分の飛行機を待つ間、おろおろしていた。お経ちゃんの飛行機は午前10:00発。
私のベトナム行きは午後2時。中途半端な時間で、ぼーっとするよりほかない。
帰り便のリコンファームもすぐに終わってしまったし、今更空港で買い物もない。
サイバーセンターで、メールをチェックする。料金は高いが、早い!故にそれもすぐに終わってしまった。
テンションが下がりに下がり、ホーチミンに着いてからもぼーっとしていた。
ホーチミンのイミグレが綺麗になって、とてもスムーズに進めるのには驚いた。
恐怖のエアポートタクシーも、どこかきちんとしたように見える。
でも、それはそう見えただけで、「メーターで行きます」というタクシーに乗ってみたら、走らせてから
甘えるような目で振り返り「6ドル」と言ってきた。ああ、ここが一番変わって欲しい所なんだけどなあ・・・。
いつものホテルに到着。ホテルのみんなと抱き合ってご挨拶・・・しているとどこからか冷たい視線が。
日本人の女子組がこちらを見ていた。「何それ」って目で。このホテルもベトナムブームで大きくなって、
ずいぶん日本人が泊まっているようだった。きっと何かのガイドブックに載ったのかも知れないな、と思っていたら、
昨日ガイドブックに載っているのを見た。なるほどね。ハンちゃんに連絡してホテルに呼び、数日の予定を決める。
それから両替に行って、プノンペン行きの飛行機を押さえに行った。ところが希望の日程はすでにフル。
学生諸君の試験終了組が早めに旅行に出始めているのか。そう言えばバンコクも日本人が増えつつあった。
ここでぎしぎしに設定してあった買い付けの予定がぽっかりしてしまい、またぼーっとしてしまった。
プノンペンの取引先に連絡をして謝り、晩ご飯を食べて、またぼーっとして、お風呂に入って寝るのであった。
なんて覇気のない。

2月15日(木)〜18日(日)いちゃいちゃ

この3.4日は、記憶が団子状態なので(毎日ほとんどぼーっとしていた)大まかに書きます。
プノンペンに行けなくなったので、ささっとサンプルだけ買うつもりだった日程がかなり余ってしまった。
かといって、本格的に買いまくる予算もない。予定通りサンプル買いと、作り込みのチェックをする毎日。
日本から遠隔操作で刺繍などの指示をすると、やっぱり細かいところまで行き渡らない。
ハンちゃんに画像を送っても、テーラーがその画像を見ることが出来ないので、プリントアウトするのだが、
そうすると色が違ってしまうし、画像が更に荒くなってしまう。贅沢は言えないのだけれど、
サイゴンのサーバーはいつも目茶混みで、画像を送ろうもんならダウンロードに1時間はかかってしまう。
それをハンちゃんはじっと待ち、やっと画像が見えたら、今度友達を捜してカラーカートリッジに入れ替えて
貰うのだそうだ。これはたかがカラーカートリッジを入れ替えるだけとはいえ、ものすごい借りの出来る行為
なんだそうで、私には正直になかなか言わないが、しなくて良い苦労させられているようなのだ。
面倒くさいことになるくらいなら、お金で解決しなさい、と私は言うが、そう言うフィーリングの事ではない、と言う。
すごく良くわかる。なんでもお金で解決ってわけにはいかないよね、特に友達同士では。
だけど私としては、たかがこんな事のために、お友達から面倒な事を押しつけられたあげく、
ハンちゃんが危ない目にでも遭ったら目も当てられない。第一、それを借りにするなんてやな奴だ。
付き合い方を考えなさい、とも言ってしまった。
そんなような、仕事をしていくうえでの些末なそして鬱陶しい苦労が細々とたくさんあるようで、
それを乗り越えていく「ハンちゃんのスタイル」がそろそろ出来つつあるようなのである。
ベトナム人によるベトナムの世渡りなので、あまり私は口を出さない。質問はするけど。
様子をうかがっている限りではこのお店に対する意識はちゃんと深まってきているし、
目的を定めて仕事を進めているようだ。
「ボスのために、私たちのために」という感じ。ここをもう少し「お客様のために」と言うところまで広げられると、
検品のあまさとかが無くなっていくんだろうし、もっと機能的に気の利いた出来上がりや、
質の良さに繋がっていくんだと思うのだけれど、ハンちゃんは直接お客様と触れあうことが無いので、
そこまで行くのにはもう少し時間がかかるのは致し方ないなあ。このお客さんはこんな風に喜んでいたよ、
こんな風に似合っていたよ、とても気に入ってくれてお礼のメールをくれたよ、HPを見てくれている人は
みんなハンちゃんのことを知ってるよ、私がいつも話しているから・・・と、ちょこちょこと報告するようにはしている。
お客さんからの励ましがなければ、私自身もこの仕事を続けられないように、ハンちゃんだって私からの評価だけ
ではきっと息詰まってしまうだろう。
あまり見た目反応は無いのだが、ハンちゃんという人はクールな顔しているときほど、火が出るほど嬉しかったり
する人なので、ちゃんと聞いているのだと思う。普段のメールのやりとりは、かなり事務的。
全然彼女のメンタリティーまでフォローできないので、とにかく顔を見たら朝から晩までいちゃいちゃいちゃいちゃする。
そうすると私もかなり安心するのだ。(そして、更に馬鹿にされるのだけど)
ベトナムでの6日間はいちゃいちゃしていただけです。

2月19日(月)マダム

これで終わっていいのかベトナム編。
何か秘密がありそうですが、実は本当に何もしていなかった。出来なかったとも言える。
ホーチミンは日本人で溢れかえり、物価がもの凄く上昇している。
卸の交渉も、ディスカウントも難しい状態。買い物する手もとまどいがちで、ごくサンプル程度しか買えなかったのだ。
ハンちゃんがバイクを買ったので、何処に行くのもバイクを使うようになり、ちょこまかいろんな所に行けるようになるか
と思いきや、しょっちゅうつまずいてしまう程混雑している道路はハンちゃんを疲れさせ、腰まで痛くなったと言って
動かないし、そうですか、と、もともと出不精の私は何処にも行こうとしなかった。毎日シントーを飲んでいた。
だけだった。
この日の夕方にはバンコクに戻っていた。いつも安宿街をうろついて、適当にホテルを決める。
たまには違った安宿街へ行ってみようとタクシーに乗った。
エアポートバスは値上がりしたので、時間と手間、もちろん距離を考えたとき、下手すると損する。
民間のバスは夕刻のラッシュアワーでかなり面倒くさかった。これだけバンコクに来ているのだから、
そろそろホーチミンのように便利で快適な常宿を見つけたいものだ。
私が向かったのはマーブンクロン近くのsoi(細道)で、カオサンよりも清潔、便利、断然コストパフォーマンスが良い、
と聞いていたのでとても楽しみだった。タクシーの運転手は乗るときからちょっとごねてたんだけど、
降り際になったら思い切りごねてきた。200Bの約束が300Bだと言う。
こんな時500B札しか持ってなかった私の負けはもう決定的なんだけど、ちょっとがんばって、
「だってあんた、ツーハンドレッドって言ったでしょ、お釣り頂戴」と言うと「ツーツーツリーハンドレッド」と
スリーハンドレッドと言ったのだが発音が悪かった、というフリをしてみせた。おまけにメーターをピピッと触って
「本当の金額はこれだもん、200越えているもん、200じゃ駄目だマダム」と言っていた。
言いながらもう一回ピピッと押すとまた値段が変わった。おい、なんじゃそのメーターは。
なんにしたってその金額が私には何の関係もないってのは解ってる。マダム、とかサンキューサーとかやめなさい。
数字も言えないフリするくせに。もういいや、と思ってお金を渡した。
そして日本語で「おまえ、きっと良いこと無いからな」と捨てぜりふを吐いてやった(人間失格)。
毒吐いて降りたら、ここがどこだかわかんない。でも住所はあってるっぽい。しばらく路地を歩いていると、
さっきの運転手が尾行してきた。「あのー、マダム、soi何番でしたっけ?」「ヌンよ」「あ・・・ちょっと乗ってください」と
言って後ろの席を指さした。こいつ、間違えていやがったな。すぐ隣の路地に入り直すと私を降ろして
「じゃ、マダム、さようなら」と帰っていった。あいつ、捨て台詞聞いて怖くなったのか、良心が痛んだのか?
最初にちょっと高級そうなミニホテルに、値段だけ聞きに入ると、なんと870B!即退散。他の場所をあたってみた。
だんだん不安になってきた。通りは宿だらけ、かつ月曜日なのにどこもフルなのだ。行く先々で前を行く旅行者が
押し返されてドアから出てくる。全部廻りきったとき、走って最初のホテルに向かった。
走って正解、最後の1部屋を取りあえず確保。でも870Bはちょっと痛い。部屋もそつなく、愛想もなく。
プール付いてても水着なし乳なし。ドアボーイがいてくれるので大荷物の時は便利そうだけど・・・。
シャワーを浴びて(お湯が出た)テレビを付けて(どうだ!)着替えて下階のカフェ(こんなものまでついている)
に軽食をとりにいった。寒い。クーラー効きすぎ。白を基調にした綺麗なカフェは生ライブ中。ビリージョエルのカバーだ。
彼は一人でシンセとギターを操りながら(ギター漫才風)誰も聞いてないし、アーティストにはやけに明るすぎる
白色電球の下で歌っている。私が座ったテーブルのすぐ先で日本人が集まっていた。
大きな声で話しているのでだいたい見当はついたのだが、バンコク即席メンバーみたいだった。
私は静かにサンドイッチとオレンジジュースを食べて、人の良さそうなシンガーと目で遊んでいた。
そうこうしていると、その団体の中の兄貴肌、でっかい金髪のお兄さんがゆでピーナツを両手に持ってきて
「お久しぶり、お帰りなさい、良かったらどうぞ」とテーブルに置き、「こっち来たら」と軽く誘ってくれた。
だからってすぐには動きづらいので、会計を済ませて帰る途中にお礼に寄って、つるっと紛れ込んだ。
4人のメンバーのうち、2人は若くてかわいいカップルで、残る二人は一人旅同士の男女だった。
さっきのでっかい金髪の悪そうで格好いいお兄さんはラテさん。プーケットに暮らしているダイバーだ。
隣の女の子はあいちゃん。女子大生。美人でキップの良さそうな、さっぱりした感じのお嬢様だ。
メコンのほぼ空ボトルが置いてあって解るように、すでにそうとう飲んでいる。
しばらく話してカップルは眠くなり隣のゲストハウスへ帰っていった。あいちゃんも隣のゲストハウスなんだけど、
明日はこちらに移ってくるんだそうだ。ラテさんとあいちゃんがこの高い(私にはね)ホテルに居ると言うことで、
どうやら私もここに落ち着きそうだった。だって一日あった事を話せる人がいるなんて嬉しいんだもん。


2月20日(火)イラナイったらイラナイ!!

朝、ラテさんのモーニングコールで目が覚めた。「おはよう、案の定寝ていたね」
「ミールクーポンの受け取り方わかる?」昨日酔っぱらっていたくせに、さわやかじゃねえか・・・そう言えば
ミールクーポンの受け取り方を聞いてない。レセプションでは全然説明していないらしくて、
心配してラテさんが電話をくれたのだ。
朝ご飯食べる気もあんまりしなかったけど、今日も私は戦場へ行くのだから、やはり食べておかないとだめだ。
朝食は例のカフェで。昨夜のメンバーはもう誰もいない。外には朝の屋台が並んでいる。あっちの方が私好みかな。
食事を終えてこっちにいる友達に連絡を取る。仕事を手伝ってくれるようにお願いし、スケジュール調整、
その後タクシーに乗ってインド人の住むところへ。運転手さんと大いに盛り上がる。昨日は昨日で面白かったけど、
タクシーってのは本当に面白い。私は運転手さんとお話しするのが大好きなのだ。インド人には気を付けろよ〜!
と冗談を言って別れた。これまた半分冗談だけど、半分マジなんで。インド人街へ入る前にちょっと寄り道して、
てろんてろんワンピのおばちゃんちに寄ってみる。もう、ちょっと見ない間に寝間着屋みたいになっている。
私が覗くとすぐにわかってくれた。おばちゃんはおばちゃんだけに、メールも出来ないし、英語も全然駄目。
だから私がこっちに来ないと買い物できないのだ。すでに寝間着屋と化していたので、
おばちゃんはあちこち電話をして、てろんてろんワンピを集めてくれた。
ほんとにかわいい、正直者の良いおばちゃんで、出来ればもっと話したいし、電話で注文もしたい。
私がもっとタイ語を話せたら・・・こういう時いつも反省する。
それをぶらさげてインド人のところへ。
最初のインド人でもう捕まってしまい、あれよあれよとインド家族に包囲されてしまった。「これはどうだマダム」と
こっちが考えながら見ている先から、どんどんまた違う物を出してくる。よそ見していると、イラナイと言った物まで
袋に入れてしまう。そのうちイル、イラナイを言う前に「じゃ、これサンプルね、6個」とか言って袋に入れてしまう。
「イラナイったらイラナイ!」「安い!大丈夫!」「それはイラナイ!、こっちを4個」と言ってその手の行方を見ていると
6個袋に入れている。そんな風に家族連係プレーで攻めてくるのだ。最終的にはどう逃げるかばっかり考えてしまう。
這々の体でタクシーに飛び乗った。運ちゃんは「何してたのさ〜」と言うので、インド人から買い物だ、と言ったら、
「そりゃ、骨が折れるなあ」ってやっぱり言った。
買い物しているだけなのに、強姦されているような無茶苦茶な気分になる、ああインド人。

引き上げの約束があったのでテーラーの方に向かう。その近所の行きつけのお店でまたなんか買う。
なんかすごく買った。そこに荷物を置かせて貰って他のお店も覗く。
ネパール人に捕まり、また無茶苦茶な気分にさせられ、動けないほど重くなった所でまた荷物を置かせてもらいに戻
り、やっとテーラーへ行った。思った通り、出来上がっていない。「明日、必ず」と出来もしない量を指さして言っている。
「でも出来るのかも」と思う私はいつも限りなくあまい。スイートなあたし。
荷物を預かってくれている店は、お店を開けて私を待っていてくれた。そしてよそのお店で買ったものも含まれる、
抱えきれない荷物をタクシーまで運んでくれ、ああ、私はこの店のために働こう、と思わずにはいられなかった。
駆け抜けるような一日が終わり、また昼ご飯も、晩ご飯も食べそびれていた私はカフェへふらふら降りていった。
もう酒盛りは始まっていて、ラテさんとあいちゃんが大きな声で話している。
滅茶苦茶な日本語の昴をシンガーが歌っていて、声を大きくしないと聞こえないから。
「目を閉じて〜もにめむこす〜はらめくて、めをなけねれ〜♪」って感じだ。
誰もそれを指摘せず、拍手を送る日本人。大人だ。
新しい女の子が席に座っていた。みんななにやら心配そうに話しているので聞いてみたら、
「やられちゃったのよ〜彼女〜」と言うので、本当にやられちゃったのかと思ったら、騙されちゃったそうで。
トゥクトゥクの運転手に安く観光して貰ったは良いが、やがてテーラーや宝石店に連れて行かれ、
なんと350ドルでカシミヤのコートを買ったそうだ。
なんでまたそんなオーソドックスな手に・・・(そして何でタイでカシミヤ?)。
今更説明するまでもないが、トゥクトゥクはお店からマージンを貰ってる。
そのマージン分はカシミヤの値段にのっている。支払いはもう済んじゃった。
2週間後日本にお届け、と言われたそうだ。
「今日コートを買ったんですよ、うんぬん」の話を二人にするまで女の子は気が付いていなかったそうで、そのコート、
届かないかも知れないよ、と言うところから話は始まったらしい。それはがんとしてでも自分で持って帰ると言って取り
に行け、と皆は言った。とにかく持って帰る事さえ出来れば、騙されたのはマージン分だけ(カシミヤじゃなかったら
それもだけど)ってことで収まる。金額より騙された事自体が悔しい・・・いい人だと思ったのに、
と女の子はがっかりしていたけど、本当にやられちゃったわけじゃないし、殺されちゃったわけじゃないし、
全然がっかりする事じゃないよ。乾杯!乾杯!旅は始まったばかり!
部屋に戻ってインド人から買った物を開けてみると、あんなにディフェンスがんばったのにやっぱり
「イラナイ物」がしこたま入っていた。その分金は取られているわけで・・・私の方が騙されてんじゃない、
人のこと言えるかよ、ああ世話ないね〜!


2月21日(水)エビの呪い

昨日連絡していた友人と、イタリアンとタイ料理のビュッフェに行った。
発送などの仕事を頼むというのは口実で、こうやっていつもご飯を食べる。彼女はもうタイに長く住んでいて、
去年はタイ人の彼と結婚した。道を歩いていても、日本人には見えない。うーん、ナニジンにも見えないけど。
食が細くなっていたのだが、イタリアーン久しぶり!の感激も手伝ってちょっといつもより多めに食べられた。
ちょこちょこ話もまとまって、ホテルへ帰る。今日はあいちゃんと買い物の約束があった。
出かける前にMBKのシール屋に行って、オリジナルシールを作ってもらおう、という計画もあった。
しかし車は一向に走らず、どどーんと遅刻してしまった。ごめーん、ごめん。
フロントに行くと、ラテさんも待っていて、一緒にもシールを作りに行くという。3人でMBKの中をしばらく行くと、
雛形の中に決められた字数を入れる、というすごくあたりまえな構造、ワープロ時代を思わせるシール屋があった。
タイに来たんだから、タイっぽいタイ舞踊の柄にしようと思った。しかし、それは売り切れだった。
あいちゃんはプーさんねらいだったから、すぐに作れていた。ラテさんはエッチな柄が良いと言い張っていたが、
そんなものは無く困っており、ああ、私もどうしようか・・・あまりにも魅力のない雛形・・・と悩んだ末、果物にした。
すごくかっこわるいシールが出来た。時々封筒の後ろに貼って皆様にお届けしています。それがこれ。
ラテさんはエッチなステッカーも作りたいと踏ん張っているので、早々に別れ、あいちゃんとタクシーで、
あいちゃん友達のおみやげを買いに出た。ついでにテーラーによって貰おう。
どうせオーダーは出来ていないんだろうから用事をさっさと済ませてのんびりしましょう、
と先にテーラーへ寄って貰った。そしたら、ママの弟、つまり子供達にとっては若いおじさんが来ていて、
みんな興奮してふざけたりしており、嫌が負うにもむやみに盛り上がってしまい、
あいちゃんまでもがすっかりとけ込んでいる。そこで、パパが戻り次第みんなでごはんに行こう、と言うことになった。
ママをちらっと見ると、どうやら明日荷物を引き取りに来い、と私に言ったのは、こうするつもりだったからみたいだった。
(だからもちろん納品は考えていないのだが)しかし、買い物という用事もあったので、
あいちゃんのお土産だけ買ってこよう、とちょっと時間を頂戴ね!っと屋台へ走った。
そうだ、荷造り用のビニールバックも買わなくては、なんて焦っているのに、たばこも吸いたい!
なんてバナナシェイクを飲みにお店に入って一瞬ですが座っちゃったりして。
ばたばた帰ると、家族は全員着替えを済ませ、車の前で仁王立ちしていた。猫のごとくつままれ、
すぐに車に積み込まれ、一路どこだかわかんないところへ。ワゴンの後ろに積まれ体は横向き、
猛スピードで相当な距離を走ったものだから、乗り物に弱い私はすっかりベロンベロン。
気分は食べるどころじゃなかった。
限界ギリギリでやっと到着。みんながお勧めのそのレストランはシーフードがメインで、売りは音楽なのだ。
今日も野外ライブが行われている。しかし・・・うるさい。屋内だったら涼しいし、静かなのでは、と
お店の中へ入るとヘビメタ系のライブ生演奏中。なっ・・・何も話せない。やっぱまだ外の方がいいか、と外へ出て、
取りあえず座った。ボーイにオーダーをするとき、ママがここの売りである演奏を「とめろ」と言った。
お店の人も私も驚いた。で、その後バラード中心の曲ばかりになったのは気のせいではないと思う。
他のお客さんごめんなさい。
さて、出てきたエビのでかさとうまさ!これにも驚き、すっかり吐き気を忘れるのであった。
ママお勧めのトムヤンクンは美味しいんだけど、我々にはとってはちょっと辛過ぎ、でも「美味しい」っつってしまった
ばっかりに自分で自分に罰ゲームやってるみたいな状態になった。唇ぷう。
食べ物は確かに美味しいけど、大きな音の中での会話で気が疲れてきてしまい、どんどん夜も更けてゆき、
体力のない私はもう疲れちゃって疲れちゃって、帰りたいのだった。
もうおじさんがふざけてくれてもちょっとしか笑えないもーん。あいちゃんも明日日本へ帰るのだし。
いろいろ言ったところで帰して貰えそうもないので、「おーホテルの門限が!」と嘘を付いた。
やっとみんな腰を上げてくれて、タクシーで帰ろうとする私たちを制しホテルまで送ってくれるという。ありがとう。
しかし、私はいつだって期限内に頼んだ物をきちんとあげてくれることを一番に望んでいるのだよ。
ご飯やお見送りは、オプションっつう感じで頼みたいんだがなあ。と思いつつも私は愛想がいいので、
ついにこにこペコペコしているのであった。ホテルに着くと、まだレセプションには煌々と明かりがついており、
門限は嘘だったと言ってしまったようなものであったが、我々は機嫌良く別れ、再会を誓うのであった。
本当に良い家族だ。
しかし、気が付けば、今まで期限内に納品できないし、計算も間違える駄目な取引先だったこの家族、
その家族に奢って貰ってしまったことで、どこか互いの心の中で立場が逆転したような・・・。
お金持ちのタイ人にご飯をご馳走になり、へつらって、お願いしていろいろ作ってもらっている日本人に
なってしまったような。
うーん。でもエビが旨かったので、とても幸せ。らんららんららーん


2月22日(木)前編さらばオリーブ

いよいよ本日の深夜便、23日になったと同時に日本へ帰ります。
もう今更買い付けする物も無いし、今日は少し自由時間だわ。
お昼過ぎまで発送の手配をして、それが済んだらむくむくと遊びたい気分になってきた。
ラテさんと夜最後のご飯を一緒に食べる約束をし、ラテさんに以前から頼まれていたTバックをワコールに
買いに行った。ラテさんとこのスタッフ女子が買って来いって言ったんだって。どんなことに使うのか
(Tバックの使用意図)解らないので、シンプル系と、フリフリエッチ系を取り混ぜて買っておいた。
ご飯の時渡そうっと。ついでに自分のブラジャーも物色。
タイのワコールだって、日本のワコール同様、とっても綺麗で入りづらい。店員さんも綺麗で一人ずつ付いてくれる。
これが日本だと帰るかどうかどきどきしてしまうので、とっても鬱陶しかったりするんだけど。
黒のストラップレスでかわいいのがあって、これの小さいサイズはない?と聞くと、ブラジャーをしている上から
人の胸をむんずとつかみ、この大きいので問題ないと言う。あるある問題ある。在庫がないからってそりゃないよ。
結局ブラウンとベージュでアウターにひびかないタイプの物を2枚買う。綺麗なおねいちゃんにおっぱいつかまれ、
殿様気分で1枚330バーツ。ああ、素敵。次にタイマッサーに行くか、美容院に行くか考えた。
ラテさんとの待ち合わせは6時。出来れば両方やりたいけど、もしものこと(タイではもしもの方が多い)も考え、
やっぱ床屋の後はマッサージでしょ、とも思い、美容院に決定。ここはひとつ綺麗になって日本に帰ろう!
お経ちゃんの件(わかめ好き好き)もあったので、ちょっとグレードの高いところへ行こうと、ロレアルパリの看板を
掲げているこじゃれた店に行ってみた。日本人の私でもちょっと入りづらい感じで、スタッフもお洒落だ。
時間通りに出来ないのがタイなので、早めにあげさせようと「適当にカットして、色はリタッチだけで良いんだけど、
1時間で出来る?」と訪ねると「もちろんさ」と店長は言った。「この日本人急ぎね」と言うことでさっそくシャンプー台へ。
お経ちゃんも驚いていたんだけど、タオルで顔を隠すのって日本だけなんですかね。顔丸出しのまま、
時々微笑みあったりなんかしちゃって、すこぶる髪がギシギシいうシャンプーを3回くらいする。
カット台へ戻ると色を決める。私の頭はこの時点で、自分でやった脱色、オリーブブラウンの染色、
生え際の黒と3色ヘッドだったのだが、だからって店長曰く、3色使うと言う。1時間で帰りたいから1色で良い。
早くやって、と言うとびっくりした顔で「2時間半はかかるなー」なんて言い出した。
髪が濡れたらこっちのもんだ、って事?くそー。「じゃ、色はもういい。カットだけして」と言うと、今度はスタッフ全員が
集まってきてびっくり顔で「色入れないの?入れなよ入れなよ」と言う。なんでこんなにしつこいかって言うと、
ヘアダイってすごくお金がとれるから。800位とられるかなー?って思ってたら1色1000だって。
そりゃ3色入れたいだろうよ。あぶなっ!「いったい何の用事で急いでいるんだ」って言うから、「友達と約束があるの」
と答えたら、全員で電話を指さした。友達に電話しろってことか!かくいうわたしも素直に電話して、
ラテさんに約束の時間を30分先にして貰った。この時点ではまだ十分に時間はあったのだけれど念のため。
そしてなんだか勝手に暴走族風の色に決められ、カットへ。カットは髪剃りだけで、超適当にそいでいくだけ。
超最速でカットは終わり。これも何の意見も求められなかった。どういう風にしますか?って聞かなくて良いのか?
っつうか、私も言えよ。色を入れる前にもう一度髪を乾かす。ドライヤーをつけると・・・なんとブレイカーがあがった。
店内は「いえー」っと何故かみんな嬉しそうで、ドライヤーを使う順番をジャンケンしたりしている。
ロレアルパリ・タイ、ドライヤーでブレイカーがあがる・・・・そんな事言っててもしょうがないので、
なんとかジャンケンに勝ってくれ、と祈るのみ。やっと色を入れはじめて、私は本当に驚いた。
日本ではやってはいけないとされる事を全部やる。地肌に思い切り薬を揉み込む、こする。薬をつけた髪をひっぱる、
よじる、からませる、櫛をす。えーん地肌が痛ーい!髪をぐんぐんひっぱられて首が絶えられず、
なんども頭をがくーんと後ろに落としてしまった。一生懸命のあまりか、後ろの長い髪に薬を塗った後、
後頭部の生え際を染めるためにすごい勢いで後ろ髪を前に放り投げ、私の顔にびちゃんとくっついた。
そんな事を何度も繰り返す。しかしその度に皆笑う。私が苦しめば苦しむほどスタッフは楽しそうだ。
しかも、リタッチで良いと言ったのに、全体に塗っちゃった。ああ、私の自慢のオリーブブラウン・・・。
色が落ち着くまでやっと解放され、ゆっくり周りを観察してみた。奥の方にモデルさんらしき人がいる。
何かの撮影の為のセットをしているみたい。彼女はもうすぐ髪が染あがるみたいだったから、
これから私はどうなるのかよく見ておこうと思って、ちらちら様子を伺っていると、「お腹がすいた」とか言って、
頭にとぐろタオルを巻き、体にビニールを着たまま、マーブンクロンの中のフードセンターへ行ってしまった。
やがて両手に焼き鳥を持ち、食べながら戻ってきた。さすがにモデルでその歩き方はとても美しかった。
そうこうしているうちに、あれだけあった時間が瞬く間に過ぎ、そろそろまじでハラハラし始めてきた。店長が来て、
「すごく良い色だ、君はセンスが良い」って言ったけど、決めたのはあんたじゃん。なんか大事なことを隠すために
お世辞言ってんじゃないの?やっとこさ洗髪。今度は良いシャンプーで5回くらい洗う。
でも私の心は「早くして、早くして」
で3回目くらいで「ストーップ!」って言いそうだった。ブロウはどうも好きらしくって、張り切っている。
つやつやムースを付けたり、いろいろして、今までのことは無かったことかのようにしてくれる。
結果が出るのが一番早い作業が大好きってタイ人だよね。つちかわれた結果オーライ精神、
ブロウするとほんとに綺麗になっちゃう。「早く、早く」とはらはら。余計な動きの多いブロウだけカリスマ美容師も、
もう笑顔で見られない。気が付けば私の毛先はるりるりしていて、タイの女の子が大好きなお嬢様風
(人によってはお水風)るりるりになっていた。あらら〜!慌ててお金を払って店を飛び出したのでした。
すでに時刻は約束の時間から30分が経過している〜。ところで、これでいくらだと思います?1500バーツ。
約4500円ですよ!カット500,ヘアダイ1色につき1000だって。騙されてないの。
他のお客さんもその料金払ってたもん。うちの近所にヘアダイ3900円ってのがあったよ。
あーそれにしても、お洒落で入りづらかった気がしたこの美容院もワコールも、一歩入れば思い切りタイなのだねえ。


2月22日(木)後編・最終回 素敵な彼女

走って走って宿に着く。ロビーにラテさんの姿はなく、レセプションにメッセージが残されていた。
「今日は腹の具合が悪いので、日本食を食べてきます。気を付けて帰国してください」がーん、間に合わなかった。
タイに着いて以来、時間には遅れっぱなし。申し訳ないの一言につきる。
どうしてももう一度会ってちゃんと謝りたかった。
それに、ワコールでTバックをたくさん買ってしまったし、これを何とかして渡したい。私には使えない。
フリフリエッチの方なんかいったいどうしようっての!レセプションに私もメッセージを残した。
「ほんとうにごめんなさい。9:00〜10:00までカフェにいます。もし、お会いできなかったらTバックは
レセプションに預けて帰ります」そして、部屋に戻るとシャワーを浴び、身支度を整えてから荷物を運び出して貰った。
9:00にカフェに入ると、またシンガーがビリージョエルを歌っている。ベトナムで買った「週刊朝日」を読みながら、
ラテさんを待った。店内は結構混んできていたので、一人でテーブルを使っている事を恐縮してしまったけれど、
必ずラテさんは来ると思ってしばらく辛抱した。9:45分頃、赤い顔をしてラテさんがカフェに入ってきた!良かった〜。
一人でもしこたま飲むのかこの人は。Tバックも無事渡し、しばらく話をしていると、すぐに10:30。
そろそろ旅立たなければ・・・。ドアボーイとラテさんが見送ってくれる中、大荷物と私はタクシーに乗った。
「また会いましょう!」再会を約束し、一路ドンムアン空港へ。
滞り無く出国手続きを終え、デューティーフリーへ進んだ。
ベトナムへ出国するときに気が付いたのだが、ドンムアン空港の羅列する免税ショップの端っこの方に
Smorking Barが出来た。アジア好きはたばこ好き、とは言い切らないけれど、
とにかく禁煙大国と言われる国の人たちは、アジアでたがが外れた様にたばこを吸う。が、
一方アジア諸国では禁煙大国に習って禁煙ゾーンが増え続けている。
アジアに行けば、世間の冷たい目に晒されずに喫煙できる!と思っていたら、「No Smorking!」と言う事が多い。
この免税エリアでも「飲みながらのんびり一服」という場所はとっくになくなっていた。しかし、さすがタイ。
ニーズにはついつい応えてしまうのですな。なにせ、金になる。
中に入ると、たくさんの白人連中がビールを飲み、たばこをふかしている。
私はきっと日本人が一番多いだろうと思っていたら、日本人は無料の喫煙コーナーにひしめいていて
、こっちにはあまりいなかった。「ソフトドリンクはおいている?」と女の子に聞くと、3.4っつメニューを言った。
オレンジジュースを頼んで窓から飛び立つ飛行機を見ていた。すると、アロハシャツを着た白人のにいちゃんが、
「これ、使っても良い?」と灰皿を指さした。「ごめんなさい、私も今から使いたいの」と言うと「シェアしても?」
と言うので「もちろん」と灰皿を差し出した。彼は自分の休暇とタイ旅行の話しをまくし立てていたが、
タダでここに居るために私の連れを装う作戦のようだった。確かに喫煙エリアはガス室化していて、
私でも入りたくないので良くわかる。1本吸い終わるとお礼を言い、良い旅を!と握手を交わし軽快に店を出ていった。
背中に視線を感じて振り返ると、日本人のサラリーマンらしきお父さん2人連れが私を凝視している。
視線からは「驚嘆」が読みとれた。嘘じゃない。では、おじちゃんの視線でレストランの情景を描いてみよう。
素敵な黒いドレス(入国時の税関対策で一応ワンピースを着ている。しかも髪の毛が美容室のおかげで、
茶髪がる〜りるりしちゃっている
)の素敵な女が夜景を見ながらカクテル(実はオレンジジュース)を飲んでいると、
いなせなアメリカンが声を掛けて来た。流ちょうな英語(実はひどい)でしばし楽しげに会話をし、
しかし最後の誘いはさらりとかわした、こんなところでしょうか。更に続く・・・で、その素敵な黒いドレスの女は、
腹が減ったのだろうか、軽く手を挙げ軽食をオーダーしている。その美しさに吸い込まれるように今度は初老の
フランス人がやって来て、隣に座った。二人は微笑んで挨拶を交わす。彼は軽食のオーダーを取りに来た同じ
ウエイトレスに「アイリッシュ珈琲」と言った。タイ人の女の子は何度も聞くが良くわからないらしい。「珈琲ですか?」
「いや、カクテルだよ、アイリッシュ珈琲」「・・・珈琲、じゃないんですか?」どうしても通じなくて選手交代、
少し先輩のウエイトレスがやってきた。しかしその子も同じ質問を繰り返し、結局言われた通りの事を紙に書いて
厨房へ持っていった。素敵な黒いドレスの女と初老のフランス人は「やれやれ」とほほえみを交わし、
何かを囁きあった。女はフランス語も解るらしい。しばらくすると、上品な(小さい)サンドイッチが届けられ、
またしばらくすると立派なアイリッシュ珈琲がやって来た。安堵と共に二人はまた笑った。女は食事を済ませ、
しばらくキラキラと光る滑走路を見つめていた。横顔が何故寂しそうだ。いや、美人というものはそう見えてしまう
ものなのかも。やがて、何かをふっきったかのように女は立ち上がり、初老のフランス人にさよならのウインクをして
店を出ていったのだった。・・・はて?しかしこの女、何か忘れてはいないだろうか。
このレストランはオーダーしたものが来たら、すぐにお金を払う事になっている。
オレンジジュースはその華奢な指先でスマートに支払っていたのを見たが、
サンドイッチの分の金は払っていただろうか?まあ、いいさ、あんなに素敵な女そうはいない
きっとちょっと目を離した隙にチップをたくさんのせて支払ったのさ・・・。
と、言うことで、無事に荷物ずりずり日本に到着。
日頃の行いが良いので、その日だけ春のように暖かく、震えることなく家に着きました。
もう疲れちゃって何にもしたくなかったけど、メールボックスを開けると、
たくさんのオーダーと励ましのメッセージが!
急に仕事モードになって2週間分の梱包作業を済ませ、終わったと同時にハサミを持ったままゆっくり
バタンキューしたのでした。まあ、ほんとになんて素敵な女なんでしょう!ブラボー

おしまい。


もうけっこう
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