第16回 タイ・ベトナム メモ
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もうそろそろこの買い付け日記も、一日、一日あったことを書いたところでいつも同じだ。
そりゃそうだ。毎回同じ事やりに来てるんだもの。
かと言って、同じ事してても同じ様にならないのがアジアの不愉快さ、いやいや愉快なとこってくらい、
ちょいと書いておこうかと思う事もないわけではない・・・
と、言う事で、買い付けメモでも残しておこうかな。


+++ モノづくり +++
オープン以来、テーラーのチョイスはハンちゃんに任せてきている。
その経緯にはいろいろあるんだけれど、まあ、ベトナム人の扱いはベトナム人の方がうまいから、でもあるし、
ハンちゃんが私とテーラーの摩擦を怖がってるってとこもあるんだろう。
きっちり仕事を収めてくれれば、どんな方法でも構わないので、私はデザインに集中してるのだけれど
今回はちょっとそうもいかない。うちのテーラーはヘタクソになった。
私でも手が変わるとすぐに判る。やっつけ仕事にはオーラが感じられない。
ハー・・・とため息ひとつ、やり直しがふたつ。
ベトナムに突然の観光ブームが訪れたそんな中、お土産産業と呼ぶべきか、この国のGNPを支えていた
おばちゃん達の手仕事産業が、いま陰りを迎えつつあるらいい。ブンタウで石油が出るだとか、バイクが売れ
そうだとか大企業もどんどん参入し始めた10年程前、ベトナムはいろんな夢を見ていた。でも商売ベタで
欲深な政府がしくじったか、企業は少しずつ撤収方向へ。それでもそんな事知らないおばちゃん達の手工芸品や
縫製が多くの観光客の支持を得ていた。猫も杓子もお土産屋になり、隣のお店のコピーをしまくり、
少数民族の手織り布がアクリルになっていった。でも、そのブームも去ったらしい。
うちのテーラーも今や常連さんがなくなり、今やカゴをぶら下げて果物屋さんになってるそうだ。
刺繍屋さんも田舎へ帰った。ビーズ屋さんも市場の食べ物屋さんになった。
以上、ハンちゃん特派員の説明によるものなので、具体的な数字を見てのベトナム動向ではないが
なんとなく合ってる気はする。だってうちの縫製ヘタクソになってるし。
まあ、いつだって1から始めればいいんですよ。
始めたばかりの頃もこうやって、縫製のクオリティを求めては価値観の違いでぶつかりあって、
納得させてきたんです。
それに一連のブームが去ってからが本当の勝負だと、ブームの頃から思っていたんです。
と、良い子の回答。
そんな事思っていたなんて、やあー熱かったなあ、オレ。



+++ おいしいモノ +++
食べるのは大好きだけど、特に激しいこだわりがない。
それに、仕事をしていると食べるのを良く忘れてしまう。
ベトナムにいる時は、ハンちゃんがいるので忘れず食べるけど。
でも何を食べるかは任せてしまう事が多いなあ。
だから私は意外にもベトナム料理をあまり知らないのだ。
たぶんかなりディープなものを食べてるんだろうけど、「うんうまいねー」と食べるだけ食べて
名前聞くのを忘れてしまったりする。ハンちゃんが好き嫌いが多いので、偏りもある。
ゴイクン(生春巻き)なんてメジャーな料理を、ハンちゃんがベトナムの生野菜怖いとか言って
(ぜんぜん平気ですよ)食べさせてくれないので、強く言わないと食べ忘れて帰ってきちゃう。
ディープだけどいつも同じ所で同じものばかっかり食べているのだ。
で、タイにはほとんど一人で滞在するので、食べるの忘れたりしながらも
自分でメニューを選んで食べる。だから食べ物の名前は重要だ。
ゆっくり座ってる暇がないので、ほとんどそこいらの屋台での食事が多い。
いやータイが屋台の国でなかったら、かなり痩せて帰ってるはず。
一人でも気後れすることなく、外国人でも目立たないバンコクの道端。助かります。
たまに日本人と食事する時は、ちょっと素敵なレストランへも行く。
これがまたタイは年々選択肢が増えていて、値段も上を見たらきりがない状態になってきた。
素敵なのは、屋台の安くて美味しい料理はそのまま。幅が広がっているのだ。
日本ではなかなか高級で食べられない物が、そこそこの値段を出せばそこらで食べられる。
タイ人にはびっくり価格なのだろうな、と思いきや、結構タイ人も利用しているのだ。
所得があがってるんだねえ。
「デートの時は、がんばってピザハットに行く」とか「彼女と8番ラーメンでお食事」なんて
聞くと思わずほくそえんでしまう。
タイ人もベトナム人も動物性たんぱく質をどんどん摂るようになって来ていて
いまやみんなの悩みは肥満。ダイエットの毎日。
それでも日本に留学したりしたら、見違えるような太りっぷりになるんだから、
やっぱり日本はご飯が美味しいんだねえ。



+++ 泊まるトコロ +++
サイゴンでは定宿。いや、本当に色気のないことで、もうちょっと良いホテルだとか楽しい場所だとか
考えても良かろうに、ベトナムに関しては仕事以外何もしてない。
それはひとえに、宿のパフォーマンスが悪くないから不満がないってだけなのかも。
ありがたいことです。
これが何でもあるバンコクの方が、泊まる所は難しい。悩みの種なのだ。毎回ジプシー。
観光で来られる方とは、ちょっとロケーションが違う・・・ならまあいい。それも選択肢。
実はサイゴンで抑えられていた欲望が爆発するかのごとく、おらあちっと遊びてえの。
市内ど真ん中、観光ロケーションばっちしのトコロに泊まりたい!
便利じゃなきゃあバンコクじゃねえだ!
ちょいと辺鄙なところだと、仕事終わってからちょっとだけ遊びたいのにそれが億劫になってしまう。
まー、私の遊びなんてフフ・・・マッサージくらいですが。あ、最近安エステも覚えました。
そう、バンコクと言うのは不思議な街で、遊ぶって言っても何もしてないんだよね。
ふらふら〜ふらふら〜してると、あっと言う間に時間が経っている。
いつも何か面白いものが見つかって、ちょっと目を奪われていると一日が終わる。
そう言う風に街を見てるのも、きっと何かインスピレーションになったりして・・るといいね。
食事同様、上から下までホテルの値段も揃っているバンコク。
ゲストハウスだってかなり便利なとこにある。でもここ近年、コストパフォーマンスは褒められた
もんじゃないんだなあ。バックパッカーが金持ちになって来てるのか、便利の付加価値を知ったのか。
だし、それなりにお金も持ってるので防犯上、最近は一応金庫の付いてるところに泊まっている。
もちろん「中級」。この「中級」ってのがまたくせもんで、どこも帯に短したすきに長しなんだよ・・・。
仕事でこの値段から上は罪悪感が・・・と言うギリギリのラインで何軒かを使いまわしている。
これも友達とワリカンだったらね、なかなか良い所があるのですよ。
サイゴンでは集中して仕事が出来るので、定宿がない場所ってのは落ち着かず、ばしっと
決まらないことが長らく苦痛だったのですが、最近ジプシーにも慣れてきて
行く度にいろんなホテルを見て回るのも、楽しみになってきてるのです。



もうけっこう
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