韓国買い付け隊が再結成 バンコクを拠点に、ベトナム、ネパールへ3週間の長い旅 第11回 タイ・ベトナム・ネパールの巻 サムイのおまけ付き |
8月30日〜31日 バンコク 飛行機でバンコクへ到着。一気だね。必要だね飛行機。飛行機万歳。 そして清水さんと合流。清水さんはコロンボで日本人の友達に会っていたにも関わらず、何か欲求不満だったのか もの凄い勢いで喋って来るが、勢いが過ぎて何言ってるかさっぱり分からず。顔をじっと見てやるが、それでも自分の 異常に気付かない様子。危険なので睫毛パーマ、キューリパックなどさせ口を封じ、落ち着かせてから移動とする。 せっかく女の子が集まったんですもの。買付けなんか行かないわっ。 あのグランドハイヤットエラワンの中に、ネイルサロンがあるので行こうと思う。そこはエラワンなのに、なんで?なんか ここ異空間?って言うくらいいたって庶民的なサロン。それが良いの、と言いそうだけど、普通なのにお値段も高いし、 トップコートしてくれる事と多少色が多いくらいで特に良いことはない。 ただエラワンに入るときが気持ちよい。ええ、これは本当に気持ちが良い。そうよ見栄よ。虚栄心と優越感よ。 車寄せを徒歩で上がってくる私達にもドアマンは優しい。しかし予約がいっぱいで飛び込みは無理だった。 何度も言うけど、いたってフツーのとこで、あんな素敵なエレベータで上がって入ると普通以下に見えちゃうくらいの フツーだから、人気で予約がいっぱいってわけじゃないと思うんだけど、事実いっぱいだったのよ、がっかり。 よほどがっかりだったのか、サムイでの食べ過ぎがたたってか、あやちゃんの胃に異常が発生。 清水さんの挙動不審が治ったと思ったらあやこの異常。みなさん早くもお疲れですか。ちょっと動くのが辛そうなので、 2人をエラワンに残して、隣の元そごうまで薬を買いに行った。私の希望「薬を買うなら中華系の薬局で」の通り、 高架から繋がる入り口のすぐ側に、タイチャイニーズ経営のドラッグストアがあった。 いよっ私のタイ語の試し時である(自分の症状を言うなら英語で慎重に言うつもり)。 アクション付きで「友達、食べた、いっぱーいいっぱーい、痛い痛い、胃」こんな感じだ。薬局家族にバカ受け。 「背中も痛い痛い」と言うと、次男坊とおぼしき賢そうな青年がタイ・日本語辞典を取り出しながらタイ語で 「うーんと、背中が痛いってのは食べ過ぎでなのか、他の原因で痛いのか、わからないから、そうすると薬が違うん だけど、ホントに食べ過ぎ?」みたいな事を聞いてきている。そしてそこで辞書の単語を指さした。 そこには「下痢」と書いてある。そして彼はゆっくり「げーりー」とタイ人が外来語を言うときに多く使う 一声の発音で言った。私は「ううん、マイ(Noの意)ゲリ」と言った。青年は眼鏡を軽く抑えながら微笑んで 「マイゲリ」と反復した。マイゲリ、それはノーゲリ、ノーウォーみたいだ。 帰りがけビルの出口でネイルショップのチラシを貰った。なんだここに綺麗なのがオープンしたんじゃん。 走ってエラワンに帰ると、「遅くて心配しちゃった」と2人。なんだか休んだら良くなったみたいで動けそう。 動けるうちにどこかゆっくり出来る所でお茶でも飲んで、それからチラシのネイルをしようと、バカのひとつ覚え みたいにまた元そごうに入った。ここでゲリの彼に見つかってしまっては、友の為に薬を求めて走ってきたという 私の良いイメージが壊れてしまうので、見つからないようにコソコソ入る。 しかしせっかくコソコソ入ったのにチラシは嘘だったのだ。 そのショップではネイルを取り扱っていないと言う。「なんで書いてあるのかわからない」と店員。 ・・・おいおい、このネイル大国でどんなつまずき方しちゃってるわけ?我々は。 もういいか〜と、言いたい所なんだが、本当に爪がボロボロなのでこの大都会じゃ落ち着かないのよっ。 是が非でもなんとかしたい気持ちでいっぱい。何処へ行こうか〜とエスカレーターを降りている時、 フロアのはじっこ〜に床屋のクルクルを発見した。床屋にはたいがいネイルがあるもんなのだ。 近寄って行くとお店のガラスにプライスリストが書いてある。そのお店の飾らなさにも驚くが、その値段を見よ!だ。 過去最安、両手で100バーツ?!あまりの安さについ聞き正してしまった。「その通りですよ〜」の応えに、 えーっと驚いているとお店の子達が笑う。Youちゃんによく似たお姉さんはじめ、スタッフは皆明るくて気さく。 一人いる男の子はオカマちゃんでとてもかわいい。両手両足をお願いしてみたが、ケアも丁寧にしてくれるし、 乾くまで根気よく付き合ってくれるし、なかなか居心地が良い。 フェイシャルに来ていたおっちゃんもその居心地の良さに爆睡だ。 お勧めだけどあまりの地味さに日本人はひくかも。でも技術は値段じゃありませんよ。←エラワンへ行ってた人。 綺麗になって良かったね。と、そのままマッサージへなだれ込み、タイ料理と観光客を満喫。 翌朝、挙動不審の清水さんが消えていた。一足先にカトマンズへ飛んだのだ。 くたくたの所へ観光をし、深夜まで喋り続けたのでお別れを言えなかった。 私は寝ぼけた頭で、私のベッドサイドにあった白い革張りのソファーをずっと清水さんだと思っており 「ああ、清水さん、飛行機に乗り遅れちゃった、大変、大変」と何度も夢の中で言っていた。 そう、次に意識がはっきりした時には、なんともうホーチミンだったのだ。←割愛するために嘘をついている。 |
9月6日〜7日 バンコク バンコクで私が定宿にしてるとこは安宿街の中にあるミニホテルだ。小さなゲストハウスが並ぶ通りの中だから 比較的良い所に見えるが、言うほどのこともない。なにがホテルだよ、ゲストハウスに毛が生えた程度じゃねえかって 感じなのに、スタッフはお高くとまっちゃって、なんだか勘違い。 何度私がここに泊まり来ていても、いつでも初めて会ったような顔で対応する。あんな事も、こんな事もあって、 私を覚えていないはずがないのに、てーんで知らん顔。当方はホテルですので、いろんなお客様が来られますのよ、 スタンダードルームのお客の顔なんぞ覚えてらんないんでございますって対応だ。 それが近代的な応対で、干渉しないように努めているとしてもギスギスしちゃっててへたくそ。 タイ人はおせっかいじゃなきゃ。タイ人なら会って2度目にはオレんち来いって言って私を困らせろ。淋しいじゃないか。 しかも結構高い。宿代なんて安いに越したことない。ゲストハウスだって、セキュリティーさえしっかりしてくれてれば それで充分。いつも大金持ち歩いているので宿の梯子なんて恐いんだけど、今回はあやこたんがいるので、前から 気になっていたゲストハウスにチェックインしてみた。SARSやテロの影響で、この通りも人が少ない。いつもだったら 学生で混み合って何処へ行っても部屋の空きはなかなか見つからないのだけれど、今は人気の宿も人影まばらだ。 サンルーフに日が射し込んでいるような、小さいけれど気持ちの良いロビー。手続きを済ませて、部屋の鍵を貰う。 レセプションにいたのは中華系のお父さんと犬が2匹。家族で経営しているようだ。階段を上がっていくと、なんだか 懐かしい匂いがした。そう昔四畳半一間共同トイレ外風呂18000円のアパートに暮らしていた時、毎日嗅いでいた あの匂い。別室から女の子の笑い声が聞こえてくる。これは日本人の女の子の笑い声だ←笑い声でもわかる。 小さな扉を開けて、しばらく閉口。せ、せまー。扉を開ける、トイレの前を通る、ダブルベッド、以上。 ベッドの隙間にバックパックをなんとか置く。何処に腰を落ち着けようったって居場所はベッドの上しかない。 「これ、シャワーとか浴びちゃったら、すごい湿気が充満して居られないんじゃない?」シャワーからはちゃんとお湯が 出て、まるで部屋全部がお風呂のごとくいっぱいに湯気が広がった。今日は抱き合って寝ようねあやたん!っと 押し倒した私の頭上に付けられたエアコンはなんとSHARP。バスタオルにせっけん、枕元に無理矢理置いた電話。 こんなに狭いのに、何もかも全部揃っているのだ。「ある意味すごい」と私達は感心した。 なんか痒いところに手は届いてるけど、根本的に治らない、みたいな。 どうにもじっとしていられないので、取りあえず仕事に出かけた。 疲れて帰ってきてエアコンをつけてみた。あっという間に快適、さすがSHARP。そう思いきやあっという間に寒すぎ。 このエアコンに対して部屋が狭すぎるのだ。どんなに温度を上げても基本的に寒いし、どう羽根の向きを変えても、 風が壁に当たって跳ね返って来ちゃうから風から逃げられない。 かといってバンコクでエアコンを止めるなんて絶対出来ない!隣の室外機にやられて死んでしまうぅ。 しかし、シャワーを浴びてみたらとたんに快適。心配していたシャワーの湯気は、かえって心地良いくらいで 「あ、あったかい」なんて言ってしまった。なるほど小さな世界はそれなりのバランスが出来ているのだなあ。 翌日の朝、私達は例のいけ好かないホテルのカフェで朝御飯を食べていた。 ごめんゲストハウス・・・カオサンあたりの安宿に比べれば、がぜん清潔だし、笑えるくらい何もかもが揃っているし 安全。揃いすぎてて沈没感が無いのも良い。貧乏旅行を楽しむんだったらお勧め。だけど、、、 お年頃の私達、疲れが全然とれない。そう、痒いところに手は届くけど、根本的には治らないみたいな←しつこい。 そんな風に人は大人になっていくのだろうか・・・(ちゃうちゃう) |
9月10日 カトマンドゥ 「昨日、偶然にもクマリに会いましたよ!」と宿のご主人に話すと、「おーそれはラッキーでしたね」と笑顔。 私達の宿のご主人は日本語が話せる。良い宿がないかネットで探していたら、タメルの真ん中でホットシャワー完備、 まだ新しくて清潔、そして安い!と自称してるゲストハウスのオフィシャルサイトがあった。 そこにこのご主人がにっこり笑っている写真があり、それがまあいい男!!すぐここに決めてメールを送っておいた。 良くあることだが返事はなく、前乗りしていた清水さんが予約のやり直しに行ってくれていた。 乗り込み前に「旦那さんはHPの写真よりちょっとよれよれです」と、清水さんからメール・・・。 うむ、確かに、HPが俳優のポスターとしたら、本人はくちゃくちゃにされたチラシと言った感じか。ポスターもチラシも 確かに本人なんだけどなあ・・・んーって感じ。まあチラシでもいい男はいい男だ。 「今日も広場ではお祭りがありますよ。いろんなお店が出たり、踊りをやったりします」と言うことで、仕事が終わって から昨日の現場へ向かってみた。ちょっと時間が遅くなってしまったので、行けるところまでタクシーで行ってみようと したが、やはり目的地まで後3分の1くらいって所で、人混みに阻まれ動けなくなった。あまりの喧噪に降りない方が 安全に思われたが、それじゃ何をしに来たかわからんちん。仕方ない、降りて歩くか!私達が降りると言ったら運転手 もほっとした顔していた。なに、歩いてみたら流れもあるので、それ程苦しくはない。 人が集中している場所では、中央で何者かが踊っている。道の辻つじに鎮座している神様達には溢れんばかりの花を たむけ、商店街の真ん中には屋台が並んでいる。かなりいけてない髪留めとか、バンダナに三つ編みがついてる カチューシャとかを冷やかしながらぶらぶらとしていると、突然人々の気配が変わる。 「クマリだ!クマリが来る!」なに〜?またまたお会いできちゃうわけ〜? 見ると確かに二台の山車がゆっくりと腰を降ろそうとしている。クマリを乗せている山車が今日の仕事を終え、 車庫入りしている所のようだ。あっという間に人だかりが出来る。あやちゃんが、カメラを手に人混みに飛び込んだ。 アイドルのおっかけくらいの迫力があったか。とにかくしっかり見ていないとはぐれてしまいそうだ。 まだあどけない顔のクマリは、2人いた。ずっと神様は一人なのかと思っていたらそれぞれ役割が違うのか・・・、 もしかしたら後一人くらいいるかもしれない。 ラッキーなことに滞在中2回もクマリに出会えたというその偶然に、すっかりいい気分の私達はまた人混みに揉まれ ながらタメルの方向へ歩き出した。ポツポツと雨が降ってきている。細い路地には地震が来たら木っ端みじんに違い ない煉瓦作りの家が両側に高くそびえ立っていて、家々の窓からは混雑する小道を面白そうに見下ろす人達の頭が 見える。「うわっなんじゃ!」とあやちゃんが叫んだ。「うわーやだよう〜なんか落ちてきた、冷たい、液体だ〜」 「雨じゃないの?」「雨じゃ無いことだけはわかる、うー想像したくない」ふざけて誰かが唾でも落としたのか・・・。 意地悪く私が笑っているうちに雨雲はどんどん迫り濃くなり、あっという間の土砂降りになった。 わずか50cmばかりのひさしに緊急避難。同時に何人かもひさしの下で足を止めた。バイクに乗っていたカップルも バイクを置き去りにして飛び込んできた。シーンとしながら、雨が行き過ぎるのをみんなで待った。 みるみるうちに路地は川と化す。 30分ほど立っていただろうか、滝のような雨はどうやら止む気配がないので、どうにかタクシーを捕まえようと 言うことになった。しかし行き過ぎる車にはすでにしっかりと人が乗り込んでいる。 どの車も川となった雨の中をたぷたぷと泳ぐような有様で、車は大丈夫なのか?と余計なお世話も焼きたくなる。 私達の挙手に気付いてやっと1台タクシーが止まった。なんちゅうか、まったく不器用というか気が利かないと言うか こっちに車を付けろ、と合図したらもじょもじょ動いて、更に遠いところのしかも一番川の深いところで止めやがった。 致し方なくそこまでダッシュでざぶざぶ道を渡り、やっと乗り込んだ頃には、雨宿りの意味が・・・車を止めた意味が・・ と言うほどしっかりと濡れてしまった。こんにゃろー、どうしてくれよう。「タメルまでいくらで行く?」と聞くと、 来たときの3倍に近い値段を言った。「レイン、レイン」と言っている。「だまれ、その半分だって相当な金額だぞ、 はよ行け」歩いたってなんてことない距離。タメルは目と鼻の先なのだ。川のようではあれ、ちょっと走ったら やっぱしすぐタメルに着いた。「はいはい、これね」と彼の言い値の半分を渡すと「ノー、ノー」と濃い眉毛をハの字 にしてお願いリアクション。ネパール人はこう言う時喧嘩ふっかけるような威圧感がない。だから恐くない。 でも実はそのお願いリアクションの方が気持ち揺さぶられてしまうんだよね。 ただ確かに彼の言い値は異常だったので、「うるさい!ごめんね!ご苦労さん」と車を降りて雨の中走った。 「ノ〜〜!」後ろから彼の声が聞こえたが振り返っちゃいけない。しかし振り返ったあやちゃん曰く 「すぐに白人があの車に乗り込んだから、私達にごねるより良い仕事になったんじゃん」とのこと。ああ良かった。 つーか、全然こっちが正しいのに、なんか悪い事したような気分にさせられて腹立つ。 腹が立って、腹が減った。この雨じゃ、食事に出るのも難儀だなあ。 ホテルのテーブルには赤い箱。2人の目に飛び込んできたのは、そう、清水さんが残していったマクビティビスケット。 口の中がパサパサになる憎いこいつ。昨日まで厄介者だったこいつを2人で奪い合う。きー はらへった〜と叫びながらシャワーを浴びて、一息ついたら雨もすっかり上がった。 あんなにすごかった川もどこかへ行ってしまった。ふえー、そんなのなんだか嘘みたいだ。 |
9月12日 バンコク 秋物に使う急ぎの荷物を約40kgを抱えて、バンコクの空港を出ようとした私達を阻んだのは税関。 ちょっとちょっと、これは日本で使う荷物だから、ここで税金を払う義務はないんだけどな。 その旨を英語で言うが、私達を通せんぼしてるサモハンキンポーは、それを今ひとつ理解していないご様子。 「だめだめ、待ちなさい」と身振り手振りで。やがて少し偉そうなおじさんが話を聞きに来た。 「もう明後日には日本へ帰るからこれは空港へ預けて行くつもりなんだけど」と言うと、笑顔ながら強い調子で 「とにかく、あっちへ行きなさい」と税金を扱う小さなデスクを指した。「だからさあ、これは持って帰るから」と 言い続けていると「ノープロブレム、ノープロブレム、オッケー」と。何が無問題なのさ。 どうしても通して貰えないので、致し方なくそのデスクへ移動し、誰かがやってくるのを待つ。 大きな荷物を台車に積んで、いろんな国の人が税関を通過していく。何故だ。何故我々は通れない。 私達以外にも、もう一人ビジネスマン風の東洋人がデスクで待たされていた。奥さんは無事に通過している のに彼だけ引っかかっちゃったのだ。ずいぶんと時間が経ってから、小太りのおじちゃんが書類を抱えてやって 来た。ビジネスマンは荷物を開けて見せていた。プライバシーもへったくれもないこのタイでは、見ようとする までもなく中が見えちゃう。問題の荷物は、パンツとか、歯ブラシとかそんなもんだ。なのに、彼はお財布から お金を出して支払いをしている。ぬぬぬー? 彼と私達の共通点、それはロイヤルネパールを利用してここへ来たと言うこと。 確かにインド系の人らはここで売りさばくための荷を担いで来ている。だけどよりによって私達とはこれいかに。 数日滞在でインド顔になったとでも言うの?やがて私達がアゴで呼ばれた。「荷物の重さを量って、申告しなさい」 アゴが指した向こうにでかい体重計があった。そこに荷物を乗せまた台車へ乗せ、おっちゃんの所へ持って帰る。 18kgと17kgだ、と適当に言うと「ドットポイントは?」と、18.5とか18.8とか、かなり細かい数字まで求める。 だったら自分で見に来ればいいじゃねえか。言い替えるのも変だし「間違いありません」と言うと、 書類に汚い字で18kg17kgと書いた。 「あのう、すみません。私達は申告が必要な物は持っていません。何が問題なのですか?」と聞くと 「じゃ、聞いてくる」と、さっき私達を制止したサモハンキンポーの所へ行ってしまった。 またしても長い時間が過ぎていく。時は金ナリと言うではないか。もう何でも良いから早くして。 今度はちょいと若い小太りがやって来た。おっちゃんから詳細は聞いているのかと思いきや、手が空いてるから 来ただけというご様子。私は英語でゆっくり「何故私達を止めるのですか?他にも多い荷物の人はたくさんいます」 と言った。兄ちゃんはうんうんと聞きながら、荷物の中を見て、書類に「ウェア」と書き、 「じゃ、聞いてくる」と去っていった。オー、、、オーマイゴー・・・・。もう待てねえ、待てねえよ、逃げても追うなよ! こちらの心知らず、楽しそうな小走りで小太りのおっちゃんが帰ってきた。 また「ノープロブレム!」を連呼している。そのノープロブレムはノーミーンでノーリーズンだよな、ホントに。 帰してこれなきゃ意味無いっつーんだよ。埒が明かないので、私は壁に書かれた税関の注意を読んでいた。 そこには荷物預けた際の、料金が載っている。1泊40バーツ。空港の荷物預かりは1泊60バーツなので、 あれ、ちょっとお得だ。なんて考えてるうちに保管庫の鍵を持ったおじさんがやって来た。 結局、荷物は持って出られないけど、税金は払わないで済みそうだった。 でも、何でひっかかって、何で払わないで済んで、何で置いていくのかは誰も説明してくれない。・・・もういいや。 どうせ預かって貰うなら、フットワーク軽くしたいからいらない物全部預けたいな・・・ 「ねえ、ちょっと荷物を作り直したいんだけど、いい?」と聞くと、元気に「いいよ」と。 助かるけどさ、さっき重さ計った意味はどうなるのよ。あやちゃんと2人でリュックからタイではもう着ない暖かい服や、 お土産やなんかを出し放り込んだ。恐らく20kg超えただろう。でもそんなこと、保管庫のおじさんには関係ないのね。 「はい、行きますよ〜」と荷物を担がされてそこへ行った。広い倉庫の中は、旅行者から取り上げた荷物でいっぱい。 「はい、ここに置きなさい」なんと、荷物を預かるのに荷物番号もないし、日付け棚でもないのだ。 何の個性もない買い付けバッグは、誰が間違えて持ち出しても不思議ではない。私はリュックから南京錠を取り出し 荷物のファスナーに付けた。そして2個のバッグを自転車用のロープキーでバラバラにならないようにくっつけた。 泥棒には無意味だけど、間違え防止にはなるだろう。おじさんはまとまった荷物を一瞥しただけだ。 身軽になって気軽になって元気いっぱいアンパンマン。 タクシーを拾って市内へ。 しかし、なんだったんだよ。荷物心配だなあ。絶対責任取ったりしないもん奴ら。 大雨の中、取引先に荷物を取りに行くと、発送を終わらせて置いてくれるはずがまだ荷物がそこに・・・。 仲の良い友達なのだが、仕事は仕事。強い態度でビビらせる。でもビビってなかったかも。 空港で重さを量ったお陰で、かなり詳しく自分たちの手荷物の重さが分かっていた私達は、取りあえずタクシーに 荷物をつっこみ、明日朝早く郵便局から自力で発送することにした。 |
9月13〜14日 バンコク 荷物の発送なんかしないで、今日はエステしたり、マッサージやったり、美味しい物を食べるだけの日と 決めていたのに!!たまたま引き受けてしまった仕事もこの日まで押せ押せになってしまっていて、 朝から仕事せざるを得ず。ああ、早くしないと自由時間がなくなっちゃう!急いで帰ってきて、ランチはフカヒレ。 と決めていたのに、フカヒレ屋が移転したらしくない!仕方がない、時間がない、超普通に麺を食べた。 また駆け足で予約していたハナコトーキョーにてフェイシャル、行き当たりばったり中華系のお店でネイルと、 まるで何かのノルマのように「満喫」をガツガツ。心なしか疲れで突然睡魔が襲ってきたりするが気にするな! この調子で、夜はいざベンジャロンでディナー! それにしても何にしても、今ひとつなのは、ドレスなのに電車で移動。ドレスなのに山男サンダル。 なんだ、その辺はマイペンライじゃないのかタイ人。視線を感じてしまうのは自意識過剰だからか? 山男サンダルでドゥシタニホテル内ベンジャロンに到着。聞きしに勝るキレイな高級レストラン。 そして山男サンダルにも優しい。しっかし参ってしまったのは冷房だ〜。 おもてなしの心は冷房がいかに低いかによると言われているタイだが、かつてこれほどまでに辛かったことは あっただろうか。あ、あった国内線のロビーだ。それくらい(っておどれくらい?)寒い。あやちゃん唇むらさきよ。 味がどうだったかも定かではないくらい半冷凍人間。 冷たくなったあやちゃんの肉をさすりながら、また急いでタクシーに乗ってホテル近くのマッサージ店へ。 「寒いのだけは嫌いよ」と口を酸っぱくして言うと、「オッケーオッケー」と冷房を切ってくれた。 施術する人は暑いのに、悪いなあと思ったとたん、30分もしないうちに暑がりのおっさんが登場し冷房作動。 ああ、くつろぐってどうやったら良かったんだっけ・・・・。これじゃいかん。永遠の課題だよ。 もう、UAには乗るまいと心に決める深夜、いや早朝?まあ、毎回思うんだけど乗っちゃうんだけど。 だってこの冷凍人間になった夜と朝がくっついちゃってるんだもの。朝の4時にはホテルを出なくちゃなんない。 深夜のタクシーはさすがに不安なので、ホテルで用意して貰うし1泊分のチャージは払わなくちゃなんないし、 その分でTGにすりゃ良かったと思うんだけどねえ。今回は特典チケットだったから文句も言えないか。 空港はこんな時間にも関わらず、それなりに人も多い。UAのカウンターは厳しく荷物チェックを行っていたので 行列が出来ていた。それもそのはず2001年の今頃はUAが世界貿易センタービルに突っ込んでいるのだ。 日本人には日本語で審問をしてくれるのだけど、何度も言い過ぎたせいか間違ったまま覚えちゃっていて 所々が○×◆☆。笑っちゃ悪いが。これまたノーミーンだ。でもノープロブレムなのか。 そう言えば、例の荷物はいつ何処へ運ばれるんだろう。 一度自分の目で確かめておきたいので、チェックインの際に「機内で着るカーディガンを取り出したいので、 荷物は自分で取りに行きたいんだけど」と言ってみた。「じゃ、この人に付いていって下さい」と案内される。 空港の裏をどんどん歩いていく。いわば舞台裏だ。いろんな人が働いている。地下組織みたいで面白い。 長い廊下を歩いて、エレベーターのって、いくつも扉を開けて、ぽっと出たら、そこは見覚えのあるあの保管庫。 お兄ちゃんは鍵を開けると、手振りで「どうぞ」と中へ入れてくれた。自分たちで荷物を選べと言うのだ。 うう、とうとう荷物に番号なんてないのが確定したぞ。「これです!」と言うと、何の確認もせず運び出してくれた。 預けたときと同じように、「荷物入れても良い?」と聞くと「オッケーオッケー」と言う。 これまた最初に重さ計った行為が意味不明。お陰様で助かりますが。 紛失物の確認をしながら、カーディガンを取り出し、いらない荷物をまた中に放り込んで再度施錠。 UAのお兄ちゃんは、軽々と2個の荷物を持って笑顔で消えていった。 立ち会いのもとX線すら通すことなく。 いいのか! いいらしい・・・。 気楽なタイが好きだけど、気楽がストレスになってしまう辺り、つくづく自分は日本人だと思ってしまう。 と、思った矢先に成田で予約していたタクシーの時間を間違えて怒られた。大人なのに怒られた! 時間で怒られるなんて日本人としてやばい。タイ人にもなりきれないのにやばいやばい。 日本人の良いところとタイ人の良いところがない人、という人に一歩近づいた秋の夕暮れであった。 |