小事争論 ◆過去小事2000.7
31/8/2000  お盆のお話しで、私の生家の作法をお話ししましたが、ついでにもう一つへんてこなお話しをします。
私のじいちゃんは、自称神通力持ちでした。家の者が風邪を引いたりすると、ある掛け軸を持って頭の周りを歩き回ります。南無阿弥陀仏を言いながら「えいっ」と気合いを入れるのです。するとどうでしょう!・・・誰だって自然に風邪は治るので、実証の術なし。とにかく、風邪を引いたらじいちゃんに急いでそれをやって貰うんです。
よそのお宅からも依頼があって、目撃したことがあります。ただ、じいちゃん曰く、命削ってやるのであんまりよその人はやりたくないとか、ケチでしたが。うちのじいちゃんは風邪の神様、お隣のおじいちゃんは目の神様でした。1度ものもらいか何かで、隣に行かされやっぱり「えいっ!」とやって貰ったことがあります。
おそらく古い土地の持つ役割分担的安心材料なのでしょうね。じいさん達が死んでしまってから見かけなくなってしまいましたが、子供の頃は曲がり角、つまり民俗学用語(?)ですと「辻」ですか。
各辻々には神主さんが持ってる白いぴらぴらありますよね、あのミニ版を刺してありました。
信心深く考えずともそうする事で、立小便をしたり、ゴミを捨てたりとかなんとなく人って出来なくなるんですね。神様にお姿を借りて、けっこう合理的なシステムだったりすることは他にもよくありました。「ここは通んでねえ、魔が入る」という注意する場所は、何気に不衛生で暗い道だったりして、ばい菌が多そうだし、犯罪がいかにも起こりそうな道なんです。子供にキケンだから、って注意するより「魔が入る」って恐ろしげで効果的です。じいちゃん流の教育です。私が12歳の時、髄膜炎にかかって動けず、病院に送られる前のこと、じいちゃんが掛け軸お払いと共にトカゲの黒焼きを持ってきて「飲め」と言ったとき、泣いてしまって飲んでやれなかったことが悔やまれます。(じいさん残念そうに自分で飲んでいた)なんだかインチキ臭いんだけど、かわいげのある人で家中でのってやってる、と言う感じは否めません。ただ、今でも不思議に思う事が。仏壇のお水は毎朝じいちゃんが替えるんですが、それは夕方、神様の残りとして子供は健康の為に飲むんです。それがしょっぱい。朝じいいっと見てても塩を入れている様子はないんです。一日見張っててもそう。お水は下に行けば行くほどしょっぱい。ある日大人達になんでこんなにしょっぱいのかと聞いてみました。怪訝な表情でどれどれと大人達が飲んでみると「しょっぱくない」と言うんです。弟も私もこんなにしょっぱいのに!と訴えました。みんながいや〜こわ〜と言いました。とうのじいさんは、もっともらしい顔してましたが、きっと解ってなかったと思います。でも、本当になんで子供にだけしょっぱく感じたのか・・・。今でも弟と共有する不思議として語られています。
23/8/2000  メーリングリストで土地柄の話が出ましたが、「お盆」のやり方ってのは、それぞれの土地で特徴がありますよね。佐渡おけさの笠や花笠音頭の花笠は、顔を隠すことで、みんなが誰でも良い存在になるんだそうです。
死者が帰ってきて一緒に楽しむために。つまり、その笠の中はもしかしたら帰ってきた人かもしれないよ、という意味があるそうです。所謂盆踊りも、和になってぐるぐると踊るのは、その和の中に死者も入れて一緒に踊っているという事らしいです。懐かしい人々と過ごす大事な行事なんですね。きっと面をかぶったり、一直線に踊って行くのにも意味があるのでしょう。踊りももちろんしますが、私の生家では、「お迎え」と言う面白いことをします。
家の仏壇には良くある、なすやきゅうりに割り箸で足をつけた物を飾って、果物(これも決まりがあるらしい)等をお供えします。それで「お迎え」は火を付けていない提灯を持ってお墓に行き、お墓の前で火を付けてご先祖さんに提灯の中に入って貰います。それで火を消さないようにうまく家の仏壇まで持って帰るんです。
子供用の提灯もあって、これはおまめ(うそっこ)なので消えても大丈夫。それでも子供時代は緊張して運んでましたけど。帰って来たご先祖には、最初の朝はそうめん、とかなんだか決まったメニューがあってそれでもてなします。最後の日は「お送り」です。今度は来たときと逆で、仏壇前から火を付けてお墓へ運び、お墓の前で火を消します。ご先祖さんが道に迷ってはいけないのでルートを変えてはいけません。行きと帰りは同じ道。
お墓の前で、ばあちゃんが手でみんなを招き入れたり、送り返したりする様を見ていると妙なリアリティがあって、厳粛な気分になったもんです。近所からは手に手に提灯を持った人達がお墓に向かっていき、夕暮れ時はきれいなもんでした。死者に会うだけでなく、疎遠になっている縁者がこの行事の為に戻ってきたり、お墓を残して引っ越したご近所とばったり会ったり、ご先祖さんが引き合わせてくれると言いますが、ようは縁つなぎの行事なのでしょうねえ。お盆って。
18/8/2000  盆休み。岩井海岸へ行った。海水浴だ。房総なんて十数年ぶり。
日本の海水浴自体5年ぶりくらい?パラソルを借りて、砂浜に刺して貰う。
子供の頃夏休み中いつ行ってもパラソルでいっぱいだった海水浴場も、盆だというのに、台風の影響か、はたまた房総の観光が廃れつつあるのか、快適なロケーションをゲットできた。
素敵なロケーションの中にはTシャツを着たまま泳ぐ人たちが何人か・・・。いかした和風の柄。
それは「あのよろし」だったり「観音様」だったり。粋な兄ちゃん筋堀りかい?とうちの父よしおは良く言ったが。
良い色が入っている人が多かったな。あれも電気じゃなくて、手彫りで入れた絵なんかはもう芸術だよね。
近くの豪華パラソル&テーブルセットファミリーの親分の、その礼儀正しさは見習うべき、素晴らしい人当たりの良さに、この人たちはや○ざさんではなく、テキ屋さんなのではとダー。奥さん達はフィリピン人らしくて、その賑やかな話し声に、目をつぶって風に吹かれていると、セブ島かなにかに来ているようないい気分になる。
なんにしても、人は少ないし、皆びびらない(馴れている)ので、柄入りの肌にはぴったりの房総だったんだなあ。坊主頭、ヒゲが多いことにも注目。もちビーサンではなくセッタ。興味津々で観察していると、また違う一行が・・・え?!っと思うほど、いっぱい肌色Tシャツ和風柄入りの人たちが!なんだすごい数でいたんじゃない。
これじゃみんなテキ屋さんだと言う訳じゃ有るまいて。それでも穏やかに1泊2日は過ぎていきました。
かえってアホが悪さしなくていいかも。ライフセーバーなんかやって貰ったら、みんな凄く言うこと聞くはずだ。
どの家族もニコニコと楽しそうな房総でございました。
11/8/2000 今日も例によって「おもいっきりテレビ」を見ていた。みのもんたの素晴らしいリーダーシップぶりは、いつも目が離せない。今日は腸をきれいにする特集だった。
例えば、「みのもんたと行く南の島ツアー」なんてのを開催したら、いっぱいおばちゃんらが参加するだろう。
ところが、この船(何故か船)は運悪く時化に遭い、遭難してしまう。たどり着いたのは無人島で、自給自足の生活を余儀なくされるのである。「蠅の王」や「十五少年漂流記」がそうであるように、ややすると権力争いなどが起こり始める。さあ、みのさんは、神として君臨できるか。我らがみのさんの事だから、しばらくはその魅力でうまくやっていくだろう。しかし、もともと天真爛漫な上に欲望の多い彼女達である「ちょっと聞いてよ」から「もっと食いたい」に要求が変わっていく。そのうち政治的、建設的なみのにいらいらしはじめて、狩猟向きのおばあ達は分派。豚を殺して食ったり、夜な夜な生け贄を捧げて歌ったりする。シュミレーションするとやっぱり今の日本の土壌があってのみのもんたで、いかなる場合に置いてもリーダーであるのは難しいかと思う。こういう遭難した時に強うそうなのは玉置ひろし。おばあ達と新しい価値観のハーレムを作って君臨しそう。酒池肉林。
9/8/2000  占いは好きじゃない。占いは信じない。占いは面白い。10年くらい前、タロットに凝っていたことがある。
毎晩友達が来ては占っていた。集中力もいるし、なんだか怪しい雰囲気にもなる。
ま、結局そのカードを読みながら、人生相談みたいになってくる。「あたっている」と相手は言うが、そのくらい誰にだって解るってくらいあんたは酷い状態なんだわって感じ。血液型とか、4種類しかなくて盛りあがるけど、4種類に人をきっぱり分別できるなら苦労はない。「どうも気が合わないと思ったら、君ってB型か」なんて言う奴・・・血液型に頼らず何故合わないのか良く考えてみろ。「O型とは結婚しないんだ〜」って人。是非O型と知っているのに惹かれちゃう、なんて恋に落ちて貰いたい。星座占いだって、全女性誌を見比べても同じように良かったり悪かったりはしない。全部バラバラ。本格的に星を見る人は、12星座では見ないと言うし。手相を見て貰いたい、何て気分になった彼方、「彼方は弱っている」、と占ってあげたい。手相や人相は統計学だから、あたることもあるだろうし、その統計からレアケースも飛び出すから、はずれることもあるだろうね。学問だとすると、神秘でも何でもないな〜。
このまえじゃが犬君占いというのをやった。野菜と動物をミックスさせた性格判断。表の見方を間違えて、違うの見ながら「あってるあってる、わたしったらそうなのよ〜」なんて言ってた。気が付いてもう一回やってみても、「そうそう、やっぱりこっちだ」なんてね。性格なんてみんないろんな面があって、1点をクローズアップされた言い方すればたいがいの人は納得したりする。ダーなんかそのじゃが犬君占いの表に自分の誕生年がもう載ってなくて(雑誌の対象年齢から大きくはずれている)「1回やったことあるもん、どれだっけな〜、これ?これ!」なんて好きなの選んじゃってる。みんな誰でも未来を知りたい。知ってどうなるってもんでもないが・・・。良いことだけを信じて、今日も生きていきましょう。そこで、メルマガの占いでは「今日最悪のあなた」だけをお送りしています。お楽しみに。
8/8/2000 タイムバーゲン、オークション、楽しかったですね。みんな田舎に帰っていたみたいでしたけど、盛り上げてくださった参加者数名(^0^)ありがとうございました。
ちょっと忙しかったので、小事も買い付け日記も手漉きになりましたが、これから順々にこなしていきます。え〜ところで、メーリングリスト、メルマガの登録はお済みでしょうか。メルマガはなんと占い付き。占うのは私に決まっているじゃない。大丈夫、大丈夫。
6/8/2000 バーゲン!バーゲン!なんですけど、あんまりアイテム数多くは出せませんでした。言い訳するのも何ですが、改めてぎりぎりなんですね。普段から。タイムサービスと掲示板オークションは楽しくやりたいので、頑張りたいと思います!
4/8/2000 タイムサービス、オークションをやります。ルールを今から学習しておきましょう。ホントにタイムサービス。現定数。アホみたいな値段。明日、明後日はばあちゃんの49日で生家に戻ります。急いで帰ってバーゲンです。間に合わなかったら他のサイト見て遊んでて下さい。(いいのか!)
3/8/2000 何?あれれ、おっかしいな〜おっかしいな〜、メーリングリストの参加がまだ出来ない。ダーが風邪を引いて寝ています。みなさんも夏風邪には注意しましょうね〜う〜ん
2/8/2000 あれれ、おっかしいな〜おっかしいな〜、メーリングリストの参加が出来ないですね〜。う〜ん、FMLさんに問い合わせてみます。む〜みんな逃げないでね〜
1/8/2000  買い付け日記に書ききれなかったので、ここで少し続きを。モン族が差別されている話しを少し書いた。
ベトナムには国家が認定している民族だけでも54民族ある。ハンちゃん曰く200位ある。
サパなんかはトレッキングなどの観光名所でもあって、モン族もその風景の一部としてベトナムに貢献している、と言っても過言ではない。ハンちゃんが幼少の頃、故郷のダラットにもモン族がいて、時々一行が村まで降りてくることがあったそうだ。ハンちゃんのお母さんは、「お前を迎えに来たよ」と言ってハンちゃんを泣かせたそうだが、「心配しなくても、あんたはあんなに美人じゃないわ」と笑ったそうだ。モン族には確かにハッとするほど美しい子がいる。美しいと言われながらも差別されてきたのは「貧しくて、汚いからだ」とハンちゃんは言う。
しかし、自分でそう解答しながらも解せない部分が多いのだろう。ハンちゃんの中にも確かに彼らを見下してしまうような自分がいて、それを否定できないが、頭がいいのでその感情を持ってしても、構造に矛盾があることには気がついている。何故、貧しいのか、何故、汚いのか、汚いってなんなのか。じゃ美しいって何なのさ。
生憎私はインテリジェンスな英語を華麗に使うことが出来ないので、深く説明できなかったのだけど、そういうハンちゃんがとても面白かった。面白いは「可笑しい」ではなく「興味深い、試みがある」といったような意味だ。
彼女の心の揺れを少しばかり感動しながら見ていた。ハンちゃんが自分と向き合おうとしているところ。
日本には日本人しかいないと思っている日本人の多い日本で、身からでる体験や感情を基に差別を考えられる人は少ない。昔は散々あからさまに日本人じゃない人々や屁理屈でののしられる立場の人々をいぢめていたし、今だってその人達がいなくなったわけじゃない。しっかりと差別はあり、差別されてきた心があり、それを恐れる心がある。見えないものは無いものではない。差別するってどういう事だろう。そんな事には無自覚だし、悪気は無いし、知らないだけ、知らないって事は、見えないって事は、向き合ったことがないって事は、どう?これって遠巻きな差別と違う?イケナイ!と私は言わない。学校の先生じゃないし公共広告機構でもないので。
でも、他者があってこその自分シリーズになるけど、いろんな人がいるって事が肯定できないと、人とは違うワタシ、変な自分ってものが肯定できないんだよね。その感覚っていま「いぢめ」にスレッドしてるのかも知れないけど。例えば、日本人が日本人であることのアイデンティティーってうまく持てない。他の民族を知らないから、民族という概念が乏しい。それってすっごくつまんない事だ。
ハンちゃんはキン族です。「あんたは何族なのよ」という質問の意味が最初分からなかったハンちゃん。久しぶりに思い出したようにキン族、と答えた。キン族はマジョリティーなんです。キン族とモン族、ハンちゃんとおばちゃん、まったく違った思想や生活を持つ人々。同じ国に暮らす事は難しい。いろんな民族の人達と楽しく暮らす、なんて理想を言ったらきりがないけど、近代化に揺れるベトナムから、近代化しすぎたニッポンがヒントを貰うことは多いような気がする。これから。



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