小事争論 ◆過去小事2000.10
28/11/2000 千葉へ越してくる前、私は川崎に住んでいた。
もう引っ越し先も決まろうというその頃、智子さんというおばあちゃんとお知り合いになった。川崎住人だったら、何度かはお世話になっているであろう地下街アゼリアのVie de Franceで、私は何ご飯かを食べていた。もうNetの仕事を始めていたが、立ち上げたばかりでなにしろ暇だった。
そのおばあちゃんは、たくさんパンの乗ったお盆を持って隣に座った。そのうち、川崎名物の酔っぱらいおぢちゃんが店内で大声を出し始め、騒然となった。店長らしき男性が飛んできて、おぢちゃんをつれて出ていき、場はとりあえず収まった。
その時、隣のおばあさんが「頭がおかしくなっちゃったのよ、しようがないわねえ、ああなっちゃ、ごめんなさいね、話しかけちゃったわ」とつぶやくように言った。私はそのおばあちゃんの柔らかいトーンの声と、「うちの子がすいません」と言っているような申し訳なさそうな話かけっぷりに「いえいえ、あれでけっこう危害を加えたりはしないんですよね、うふふ」と答えた。「ねえ、あなた、これ、召し上がって」と自分のパンを分けてくれた。ほとんど、半分ずついくつものパンを食べてある。「ちぎって食べたから、汚くないと思うわ、おいやだった?私ね、いろんな味が食べたいの、でも目が食べたいだけで、実際には全然食べられないのよ」あいにく私もおなかがいっぱいになった直後だ。おばあちゃんは、不器用にパンをしまい、私が持って帰れるようにビニールに納めた。
何の話から私の仕事の話になったのか、私は自分の珈琲豆の話を一生懸命していた。長かった会社を辞め、顔の見えない人達相手に仕事を始めたばかりの私は、転勤に付いていった主婦のごとく、不安で、少し焦っていたのだと思う。友達はたくさんいたけど、私を知らない誰かと客観的な、抽象的な、嘘の未来みたいな話をしたかったのかもしれない。
そのあたりから、このおばあちゃん「智子さん」からある種の風格が見え隠れし始めた。珈琲の話をしても、珈琲の高級品種や、原産国、こだわりのお店や、好きなあじ、そんな答えがするすると返ってくる。私が「インターネット」と言う言葉を発したとき、智子さんの目は輝いた。興味津々、「もっと詳しく」と目が笑った。

つづく
26/11/2000 先日、母さちこと買い物に行き、ついでに勉強をかね生地屋さんに行ってみた。
あんなんいいね、こんなんいいね、と夢を膨らませていると、誰かが私のカバンを引っ張っている。
なななに?と振り返ると、一人のおばあちゃんが、「これはどういう風に刺繍してるんですか?」
と、言いながらかばんを掴んでじっと見ている。その時は買い付け用のショルダーバックを
持っていた。それはチェンマイの少数民族が作った物で、丁寧な刺繍と木の実がビーズの
ように織り込まれているものだ。なかなか丈夫で、汚れにも強くお気に入りなのである。
おばあちゃんは、「三角形を、1.2.3.4っつずつ、中心に向かって、え〜」とか言いながら
一生懸命調べている。「こういうのお好きなんですか?」と聞くと、「ええ、ええ、自分でも
良く作るもんですから」と。ふとおばあちゃんの帽子を見ると、頭にぴったりとして素敵なライン
のつば、そしてどうも素材がシルクだ。その型どりがなんだか素人ではない。それを言うと、
「これは古くなったネクタイなんですよ」と、なるほどシルクな訳だ。それにしてもラインが美しい。
さちこは、ここぞとばかり「何か教えていただきたいことがあったらご連絡して良いですか?」
とペンを探した。私もわざわざペンを置いて出てきてしまったので、持って無く、
代わりにこちらの名刺を渡した(しかし、それではあまり意味がないじゃないか)
「昔から裁縫で食べてたんだけど、皮物が流行ったとき大もうけしてね。でも皮に付いている薬に
やられて頭が馬鹿になっちゃったのよ。何にもわかんなくなっちゃった。それで病院に入れら
れてね。で、やっと出てきたら今度ガンだって。この前大腸取って帰ってきて、今日初めて外へ出
たのよ。来週もう1つ小さな手術があるから、お力になれるかどうか解らないけど、こういうの好き
だから、元気になったら連絡しますね」とさらりと言った。おばあちゃんの言う「昔」、と「この前」の
間にどのくらいの時間が流れているのか、わからないけれど大変な苦労をしてきたことは解る。
昔の人間はみんな苦労して、苦労なんて珍しくないよ、とうちのばあちゃんだったら言い
そうだけど、そういう真っ直ぐな向き合い方って脱帽だ。「この生地屋さん、2月までバーゲンだって
それまでに間に合えば良いんだけど、今日は買って帰っても来週入院で作る時間ないから、
終わったら来ないと、間に合うかねえ、もーう、生地見ているとわくわくしちゃってねえ、
涎垂らしながら歩いてるんだけど・・・しょうがないわ、今日は帰るわ〜」と言った。
「若い人が、こういう面白いことやらなくっちゃね」と私を励ますと、少しは興味を持ってくれたのか
名刺を大事そうにしまい「これもご縁だから、またね」と去っていった。
この人はきっと、いろいろあっても最後まで好きな仕事をするんだなあ・・・
それがお金にならなくなっても好きだし、「自己実現」なんて頭で考える気負ったところはまったく
ないし、でも、女だてらに大もうけもしたこともあって、馬鹿にもなったし。
「好きなこと」をし続けるって格好いいね。ばあちゃん。元気復活を祈ります。
昼下がりに一緒にベトナム珈琲を飲もうじゃないか。

25/11/2000 掲示板で、温泉旅行オフ計画が盛り上がっていますね。みーんな温泉好きだなあ。
もともとアトピーで乾燥肌の私は、この季節になると粉ふきイモならぬ粉ふき人間。私の歩く後にはきらきらと星のかけらが・・・いえいえ、ぱさぱさと私の断片が。勝手にクローン作らないでくださいよ。シックな黒い服の裏側はグレーになっちゃってるんですね。そこで、お風呂上がりは、濡れた体にスクワランオイルを付けたりしてるんですが、真冬になったらこれも追いつかないんです。すねの部分はいつの間にか切れて、血、血が!
それでも外出する機会がOLの頃より減って、まだ今年はましですわ。外気ってのはすごいですよ、やっぱ。その頃は疲れると寒冷じんましんも出ていましたからね。で、家でぽかぽか仕事していればいいのだけど、会社のオフィスと違って今は光熱費を自分で出しているわけだから、妙にケチって気が付くとぶるぶるしながらマウスを握っています。ケチって成果が出れば素晴らしいけど、ぶるぶるしてる部屋を出て、居間に行ったらストーブ付けっぱなしで忘れてたりして。でんこちゃんに後ろからバットで殴られそうだわ。
で、たまにわ贅沢したって良いじゃない!温泉。行きますか!
買い付けに行く日程を毎日考えているんですが、それが終わってからで良いですか?買い付けから帰って温泉なんて・・・うーん、素敵。考えただけで癒されちゃう。みなさんの希望日程や場所を教えてくださいな。メールか掲示板で。
100人越えたらどうしよう・・・。すいません考えすぎですね。
22/11/2000 すいませーん、アップが滞っております!

今日は、お客様が自宅の在庫室にみえられてすっかり話し込んでしまいました。こうやって、今まで知らなかった人と出会えるのがこの仕事の面白いところです。いえいえ、他の仕事でもそうなんですけどね、メールである程度話していると、勝手に人のイメージを作っていたりして、それが合っていたり、全然違っていたりするの、面白いんです。メールって結構キャラが出ますから、そうそうはずさないんですが・・・。手紙ほど大げさではないし、電話ほど緊急でもなく、相手の状況に割り込む事もない、そんな「メール」というものの存在がよりそれぞれのキャラクターを引き出すし、丁度良い距離感を作るのだと思います。
遠方にお住まいのお客様とはなかなかお会いすることは出来ないのですが、とっても良い会話のキャッチボールで素敵なおつきい合が出来たり、近くのお客様はすでにお客様を超越して、友人と呼ばずにはおれない・・・。ありがたいIT社会を満喫している私なのです。Docomoのコマーシャルで、ヒーローがトランシーバーで連絡を取り合ったりしているのが夢だった時代が本当になりました、なんていうテーマのがありましたけど、ほんと、驚いちゃいますよね。私が生まれたときはコンビニなんてないしさ、マックだって幼稚園の時地元に来たんだもん。吉牛なんて中学入って・・・あれ?関係ないか?

オフ会もやりたいです。買い付けに行っていなかったら・・・
18/11/2000 今年はお芝居を見る機会が多く、今日も突然何の予備知識もなく出かけたのでありました。
お芝居はロンドンの作家、アラン・エイクボーンの原作で「たそがれてキッチン」というコメディです。事業を始めたばかりの若い夫婦と、お金持ちの建築家夫婦、そして銀行重役の夫婦、という3組が、クリスマスパーティーの裏側であるキッチンを舞台に喋ります。
3組が顔を合わせるパーティーはまず、若い夫婦の家で。若い夫婦は力を持つ他2組の夫婦に気に入られようと奮闘します。翌年は離婚と自殺をを決意した妻を持つ建築家の家で、その翌年はすっかり老け込んだ銀行重役の家で、という3年間をキッチンで描きます。3年目には若い夫婦がすっかり力を付けていて、最初の年に考えてたけど余裕がなくて切り出せなかった、ばかばかしいゲームを取り仕切って出きるほどになっており、たった3年の間に3組の上下関係はすっかり変わり、夫婦の関係も微妙に変化を見せ始めている、というお話です。
パーティー中のキッチンという場所は、ちょっとお水をもらいに行ったついでに誰かの悪口を言ったり、段取りを話し合ったり、見せられないものを隠すなど、いわば本音のたまる場所、という事なのですね。
さもすればシニカルになりがちなテーマなのですが、それがそれ程でもなくて、以外にも自然なコメディなんです。偉くなっていく若い夫婦には悪意やけれんみもなく、衰退していく2組も弱っちゃったな〜っつう感じなんですね。誰かが誰かに作為的なことをするわけでもなく、時間と夫婦の関係だけが状況を変化させていくのですね。フウフやカゾクがテーマのドラマやお芝居はどこか火曜サスペンス劇場ワイドショー的なものが多いように思われますが、非常にさらっとしていて口当たりよく、あとは自分で考えな、っちゅう、大人のお芝居でした。
キャストも大人なので、見ていて安心。だけど、安心すぎちゃうんですな、これが。たまには駆け出し、はずかし、学生芝居も見たい。むかつくんだけど。その年頃にしか出来ないっていうのがあるんだな〜1つでもちゃんと表現できているところを見ると、大人のお芝居の3倍くらい感動しちゃう。
私がおばちゃんだからかな。
16/11/2000 もう、PCの事で頭がいっぱいの私であります。結局、クーリングオフということになりました。
そのPCを作っている工場では、同じ症状の問い合わせが殺到してきていて、ようやっと原因が分かってきたそうです。その症状に対応したCDを作って配布するという事でした。
急ぎの人はその会社のHPからデータをダウンロードできるんだそうですが、もし、その後もトラブルがあったらどうなるのでしょう。
ずっとこの原因解明につきあわされるのかと思ったらうんざりこん。
甘ちゃんの私も、ばいばいするもんね。

新しく購入したPCは結局これよりもずいぶん高いものになってしまいましたが、商売道具をけちっている場合ではござんせん。

これから、またデータを動かして配線をやりなおすんです。
ああ、んもうっ!
13/11/2000 聞いてくれ!今日PC会社の担当は休みだって!こら中野!
信じられない!もう3日もほったらかされてる。
今ノートの方でなんとかアップ作業をしていますが、
慣れないので背中が痛いです。う〜
10/11/2000 いやはやパソコンは病気です。がたがたしてます。えらいめにあった。

昨日、結局不良品と解るまで、購入したPC会社と電話でいろいろといじくりまわしていて前半後半(トイレ休憩が入る)と、合計2時間あまりも電話していた。フリーダイヤルを探しても見あたらず、仕方なくも市外電話をこちらからかけていたので、むかつくくらい電話代もかかった。返品の気配が漂ってきたら、なんだかさ、代替品の用意も時間がかかるとか、故障は見てから判断するから、持ってこられないなら送料はこっちで持てとか。だって、「これはおかしいですね」ってあんたが判断したんじゃない。私は、ちょっとおかしいな〜おかしいな〜って思ってたけど、まさか自分で決定できないわよ。最初は優しかった私も「クーリングオフします」と言ってやったわ(正確にはダーに言わせたような・・・)。そしたら、あっさり「はい解りました」だって!よくわかんないけど、流れからしてこっちが追いすがっちゃったみたい。なんだかなー。

それで、弱虫のくせに「困った〜困った〜」攻撃で明日にはNewが来ることになりました。わーい。でも、またサーバにデータを送り直すとか、移し替えたデータをまたまとめるとか、うんざり作業をまたやんなくちゃなんない。あー(’ヘ`)
7/11/2000 ◆ふあふあサボについてうれしいお知らせ◆
ふあふあサボが欲しいんだけど、靴下を履いたら滑りそうで・・・
と言うご意見を頂きました。このサンダルは前傾斜行で思っているほどスポッと抜けないのですが、
より安定感があった方がいいに決まっています。確かに。
そこで、ふあふあサボには中敷きをお付けすることにしました。
一緒にお送りしますので、お好きな大きさに切ってご利用ください。
かわいい絵が消えないように、先っちょにだけ入れてもかなり安定感がでます。これで寒くなっても大丈夫!とても暖かいサンダルですから、寒がりさんにも履いてもらいたい!
すでに発送済みの方にも明日発送で送らせて頂きます。
3/11/2000 今日が祝日だとは。しかも勤労感謝の日とは。

以前にも書いたバイクに乗っていてタクシーにひかれた友人は、膝に血がたまっていていたのだが、その後靱帯が切れている事が発覚。手術をするため入院となったので、近所に住む友人が運んでくれた。
運んだやつも、風邪を放っておいたら鼓膜に穴があいてしまって抗生物質漬け、れろれろだ。せっかく人工鼓膜を付けたのに無理を押して仕事してたらまた剥がれちゃって、とても痛いらしい。

そんな人に送らせたり、迎えに行かせたりしている。朝から曇っていて、雨もちらほらと。
見舞いも、行こう行こうと思っていてもなかなかなー。で、代表者を選出し、送り込むことにした。
罪悪感もこれにて埋まる。

私は部屋で暖かい。とても元気。
2/11/2000 貯金の出来ない人は、ダイエットが出来ないそうだ。欲望をコントロールする機能は一緒だからだそうである。
自慢じゃないが、ダイエットは結構出来る。(禁煙は出来ない)じゃ、私は貯金があるかというと、ない。(無くなった!)でもまあ、なんとか生活しているのは、ダイエット機能がまだ健在だからなのだろう。
むかーし、学生の頃もっともっと貧乏で、その時私は悟りを開いた。全ての欲望を捨てる事が出来ていた。
主に、「かわいい」とか「すてき」とか思わない。買わない。欲しくない、もうなーんにも思わない。お買い物は全然しない。そうすると生きられる。
今はその欲望をフル稼働しないと仕事にならない。
実は仕事の振りしてリバウンドなのか?
ところで、部分やせは欲望コントロールだけではどうにもならない。
どうすればいいのか。

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